炎の山
エル・カラファテから220kmほど北に位置する、エル・チャルテンという町にやってきました。
病に伏したプエルト・ナタレスで別れて先を行き、
この町で4日間キャンプを張って山にこもっていたhiro君と再会!
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この町最安と思われる宿に無事チェックイン。
私たちが入った後ドアにCompleta(満室)の看板が掲げられたのでギリギリ滑り込みセーフでした!
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ところで、この町に来た目的は、
トレッキングをしてフィッツロイの山を拝む事!
フィッツロイとはパタゴニア観光のハイライトの一つ。
アウトドアブランドPatagoniaのロゴのモチーフになった山で、
まさしくパタゴニアの象徴のような存在なのです。
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この日はなんと大晦日!
12時間時計が進んでいる日本では、今頃紅白が終わって除夜の鐘が鳴り響き、
お正月ムード最高潮のはず。
昨年はエチオピアでお正月感なんて皆無の過酷な年末年始を過ごし、
さて、今年の私の年越しはいかに!?
「今夜トレッキングして初日の出を見に行こうよ!」とhiro君。
行く行く~ヽ(*´∀`)ノ!!!
できる事ならば大晦日の夜にフィッツロイトレッキングに出発し、元旦のご来光を拝みたかった。
けれども天気との兼ね合いもあるし、
朝日に照らされるフィッツロイを見るためには深夜に町を出発して真っ暗の中を山歩きしなければならないので、
同行者がいないと正直厳しいなと思っていたのです。
後半はかなり険しい山道になると聞いていたし。
そこへ、先を行っていたはずのhiro君が山ごもりをしていたおかげで偶然日程が重なり、
この町で再会した事によって初日の出フィッツロイが実現する運びに!
ラッキーすぎる♪
しかもhiro君、4日間のキャンプ生活の間に3回もフィッツロイへ登っているから、
同行者としては頼もしい限り!
今年こそは素敵な年明けを迎えられるかも!
出発は深夜1時45分に決定。
それまではのんびり過ごし、夕食を取って仮眠して、体力温存。
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いつの間にかここエル・チャルテンでも年が明け、出発の時間がやってきました。
ありったけの持ち服を着込んで防寒対策もばっちり←?
足元のコンバースはトレッキングには若干心許ないけれど・・・。
いざ、フィッツロイを目指して宿を出発です!!!
宿から麓まで町を歩き、
山道に入って、ここからが本番。
目的地まで約3時間のトレッキングがスタートしました。
hiro君の背中を追ってグングン歩いてゆきます。
あまりにも真っ暗過ぎて自分がどんなところを歩いているのかさっぱり分からないけれど、
ふと上を見上げるとフィッツロイの漆黒の山影が怪しく佇み、
頭上にはいっぱいの星屑が広がっていました。
つまり、お天気はばっちりって事!!!
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山道に入ってから2時間ほどで3分の2辺りのキャンプサイト地点に到達。
ここまでは特に険しいところもなく、楽しく歩く事ができました。
ここでちょっぴり休憩。
hiro君のホットジュースをいただき、
空腹を満たそうとバナナを齧ろうとしたら、
「ucaちゃん、意外ともう時間がないかも。
ここからが大変なんだけど、日の出までもうあと1時間ちょっとしかない。」
え!?
もっと余裕あるはずだったのに。
スピードを落とす事も無くここまで順調に来ていたと思っていたけれど、
意外と時間が押していたらしい。
「バナナは頂上で食べる!
行こうっ!」
もちろん初日の出優先。
バナナをリュックにしまい、慌てて再出発です。
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ついに、心臓破りのラスト3分の1。
ここから、予想を遥かに越える険しい道のりが待ち受けていました。
フィッツロイを訪れた旅人たちから度々聞いていたのがトレッキングラスト一時間の厳しさ。
そこまでの穏やかな道が嘘のように急斜面の岩山が立ちはだかり、
皆口を揃えてめちゃくちゃしんどかった、と
本当にその通りで。
岩山の道に入ってからは延々急な上り坂。
岩ごろごろで足元は悪く、時にはものすごく高い段差の岩にしがみつきながらよじ登り、
それまではぺちゃくちゃお喋りしながら歩いていたのですが、
息も切れ切れで、そんな余裕は一切なくなってしまいました。
hiro君は私に合わせてゆっくりと登ってくれるけれど、
日頃の運動不足がたたって私の歩みは亀のよう。
頻繁に足が止まってしまう。
「ゴール、まだ?」
「まだまだ、これからかな!」
ひーーーーっ(( ;゚Д゚))
うぅ、きついよぅ。
この調子じゃ日の出に間に合う気が全くしない。
むしろ、もう間に合わなくてもいいかも。
休みたいよ〜。
完全に弱気。
心が折れそう。
そんな私を見かねたhiro君の神の一声!
「ucaちゃん、日の出を見よう。
リュックからカメラを出して。
ucaちゃんのリュックは俺が持つから。」
ほんとに?
確かに、何をそんなに入れてきたのか、
背中のリュックが体を圧迫して子泣きじじい化、負担になっていたのも事実。
「hiro君、本当にごめんね!」
申し訳なく思いつつもここはお言葉に甘え、カメラだけ持って荷物をhiro君に託す事に!
背中には自分のリュック、お腹には私のリュックを背負って、
「軽い軽い!」と優しいhiro君。
「頑張ろう!ここまで来たんだから初日の出を見なきゃ!
時間はまだあるから大丈夫。」
そう言って彼は颯爽と登り始めました。
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ここで、私のスイッチがカチッとON!
荷物がなくなって幾分身軽になったのと、気合いが入ったのとで、
自分でも驚くほど山を登るスピードが俄然アップ!
「ucaちゃん、いい調子!」
荷物を持たせているhiro君にこれ以上迷惑はかけられない。
頑張らなきゃ!
振り返ると、今まで楽を選んでばっかりの人生だった。
きつい事、辛い事から逃げてばかり。
今ここで頑張らないで、いつ頑張るの?uca!!
今思うと大袈裟だし怪しすぎるのですが、(笑)
気付いたら心の声と対話、自らを鼓舞していたのです!
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登っても登っても終わりの来ない岩山を這い上がっていると、
やがて、心の中に現れたのが、
松岡修造!!!
君ならできる!
やるんだっ!
登るんだっ!
頑張れuca!!!
熱い熱い修造の声援が脳内をエンドレスリピート!
どうやら極限状態が心の松岡修造を召還してしまったようですw
少しずつ白みだす空。
後ろを振り向くと地平線が赤く染まり始めています。
やばい。
気持ちが焦る。
「hiroくーん、日の出まで後何分?」
「20分あるよ!まだまだ大丈夫」
だいぶ先を行って小さくなったhiro君の背中を追いかけ、
脳内修造の激励を噛み締めながら、
ひたすら上だけを目指して。
ラスト1時間の岩山コースはフィッツロイが山の影になって隠れてしまうので、
なおさらゴールが分かりにくい。
あそこを越えたら、今度こそ。
そんな希望を何度も打ち砕かれながら、それでもフィッツロイの姿を探して登り続けると、
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日の出10分前。
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最後にすっかり姿を隠して、実はこんなに近くにいたの!?
巨大なフィッツロイが目の前に!
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着いたーーーー!!!!
間に合った。
なんとか、日の出に間に合ったんだ。
先に頂上にいたhiro君の姿を見つけて目頭ジワ〜ッ!
私の負担を減らすために荷物を持ってくれて、
励ましながら、ここまで引き上げてくれた。
hiro君がいなかったら元旦の今日、日の出前に、100%ここに辿り着く事はできなかったよ。
真っ暗闇の中のトレッキングは、どこが正解の道かなんてとてもじゃないけど分からなくて迷ってしまう。
ラストの岩山なんて、一人だったらどれだけ時間がかかった事か。
感謝の気持ちと辿り着いた感動で涙腺が緩んでしまいます。
hiro君が沸かしてくれるコーヒー。
普段ブラックは苦手で飲めないけれど、
冷たい空気、山を眺めながら飲む熱々のコーヒーは別格かも。
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ついに、時がきた。
2016年、最初の朝日が顔を出し、
フィッツロイの先端から、少しずつ広がる緋色のグラデーション。
ご来光を浴びて、真っ赤に燃える炎のよう。
新しい一年が始まる。
静寂の中、タイムラプスの映像を見ているみたい。
刻々とその色、姿を変える景色。
コーヒー片手にね!
最高に贅沢な時間。
ご来光をありがたがるのは日本人だけ?
元旦の日の出フィッツロイは驚くほど人が少なく、
私たちの他に二組だけ。
この絶景を独占している気分!
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日は登り、すっかり青くなった空。
朝焼けとはまた違った表情を見せてくれます。
水面に反射する山
もっと風のない日は完璧なリフレクションが見られるらしい!
見たかったな。
にしても、このロケーション、出来過ぎ!
とげとげフォルムがかっこ良すぎるフィッツロイの、
その目の前には湖。
シャッターを押す手が止まらないじゃないの!
後から見たらどれも同じようなアングル、写真になってしまっているのだけど★
メイン?の湖の向こう側のくぼみにもうひとつ別の湖がありました。
こっちの方が緑が濃く見えるけど、
光の加減のせいかな?
頂上でどのくらいの時間を過ごしただろう?
3時間くらい?
だいぶゆっくりしちゃった。
いくら見ていても飽きないんだもん!
hiro君はここに登って来たのは4度目だというのに、付き合わせちゃいました★
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さて、そろそろ帰ろうか。
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こんな岩山を登ってきていたのね。
あのてっぺんがビューポイントのゴール。
あそこまで登り切ると、初めて湖越しの巨大なフィッツロイが拝めるのです。
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行きは真っ暗で辺りの様子が全く見えなかったので、
帰りは景色を楽しみながらのトレッキング。
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ラスト1時間の岩山以外はずっとフィッツロイが見えていたのです。
どこを切り取っても絵になる!
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しばらくすると、雲がてっぺんを覆い隠してしまいました。
あんなにクリアな初日の出のフィッツロイを拝めて、なんてラッキーだったんだろう。
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行きは分からなかったけれど、こんなに景色のいい道を歩いていたんだ。
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ようやく町が見えた!!
なんだかんだで宿に戻ったのがお昼の13時頃。
昨晩深夜2時前に宿を出発したから、かれこれ12時間弱。
さすがに足が疲れてクタクタ~!!!
この日は宿にもう一泊してゆっくり過ごす事に。
翌日の移動へ備えて!
本来エル・チャルテンの町からもフィッツロイが見えるのですが、
山を下りる途中から段々と雲が厚くなって、
結局翌日の移動まで、フィッツロイは二度と再びその姿を現してくれる事はありませんでした。
この町に着いた大晦日の夜、トレッキングする決断をして本当に良かった!
雲一つない最高の初日の出フィッツロイ、つくづくラッキーだったな。
一週間の体調不良は予想外だったけれど、
それ以外は、ウシュアイアも、パイネも、氷河も、フィッツロイも!
パタゴニアの神様がずっと味方してくれていたみたい!
2016年、なんとか幸先良いスタートを切る事ができました♪
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