それは旅の最終日。カメラは突然姿を消した
光と闇。
明暗をくっきりと分ける、予想だにしない突然のハプニング。
旅の神様は時として旅人に試練を与え、
乗り越えるたびに少しずつ心が鍛えられてきたけれど、(多少の事じゃもう動じませんよ。w)
まさかまさか、なにも最終日にこんな大どんでん返しを仕掛けなくても!!!
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カリブの楽園サンアンドレス島最後の日。
カンクンとキューバを共に旅し、コスタリカのサンホセで再会したharunaちゃんを覚えていらっしゃいますでしょうか。
彼女はキューバで別れた後、私とは逆ルートの南から北に向けて中米を旅していて、
約3ヶ月の間に各地でなんと50本も海を潜ったという生粋のダイビング好き。
そんなharunaちゃんが、
サンアンドレス島のブルーウォールはものすごく良かった!感動した!と。
その話を聞いて、俄然私もヤル気が湧きました。
久々のダイビング、行っちゃう!?
中米を旅している間にどこかで潜れたらいいなーなんて漠然と思いながらも、
結局機会を見つけられずにここまできてしまったのですが。
思い返せばラストダイビングはエジプトのダハブ。
あれから結局一年以上が空いてしまった現ペーパーダイバーの私。
Cカードが錆び付いてしまう前に、カリブ海で潜っておかないと!
というわけで、サンアンドレス島最後はスキューバダイビングに決定!
ラストを飾るにふさわしいアクティビティで旅の終わりを締めくくります。
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利用したのは、harunaちゃんから教えてもらったダイビングショップ、BLUE LIFE。
予約時にブルーウォールを潜りたいと再三訴えていたのだけれど、
日によって潜るポイントは違うので確約はできないと言われていて。
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当日朝。
ショップスタッフがVilla Sarie Bayまで迎えてにきてくれて車に乗り込み、
本日のポイントを尋ねてみると、
「今日はブルーウォールへ行くわよ!」
よっしゃ~!!!
昨日、年甲斐もなくみっともなく懇願していた甲斐あって、願いが通じたようです!?
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ダイブショップに着き、書類にサインをしたり機材を準備して、
早速、隣のホテルのマリーナから船に乗り込みます!
今日もいいお天気。
絶好のダイビング日和!
少しのドキドキと大きなワクワクを胸に、走るボートの上から七色に輝く大海原をうっとりと眺め、
まだ見ぬ海中の世界に思いを馳せていました。
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やがて潜行ポイントに到達。
全ての機材をセットして、ボートエントリー。
船の縁に腰をかけ、マスクを押さえながら後ろ側へひっくり返るように海へドボン!
ここからは、上も下も斜めも自由自在の3D移動。
陸上とは見えるものも感触も気圧も重力も、全てが異なる海の奥深くへ、
唯一の命綱であるタンクの空気をくわえ、
ゆっくり、ゆっくり落ちていきます。
久しぶりの緊張感もすぐに溶け、
ブルーウォール含む2本を楽しく潜って、
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本日のダイビング終わり!
最高でした!!!
て、
写真は?
いつもうざいくらいに大量に載せる、海の中の写真はっ!?
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はい。
悲しいお知らせとなりますが、
今回のダイビングの写真、一枚もありません。
冒頭のタイトルで若干お察しかとは思いますが、
これから、
ちょっぴり苦く切ない海の中の出来事、いや、ハプニングの一部始終をつぶさにお話したいと思います。
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一本目のBlue Wall。
その名の通り、左右から迫り来る壁をすり抜け体一つ分くらいのトンネルをくぐる、
ど迫力で圧巻、ダイナミックな海底巨大迷路!
harunaちゃんが強くオススメしてくれたのも納得の素晴らしいダイビングでした!
ここ、地形萌えにはたまらないと思います。
最後の安全停止ポイントには骨董品のような沈船がどかっと海底に横たわっていて、
その周りをお魚たちが漂う様はまさにファンタジー。
ジブリ映画のワンシーンみたいで夢中で写真を撮り続けちゃいました★
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海から上がり、ボートで場所を移して、
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二本目はTrampa de Tortugaというポイント。
水深20mほどまでいっきに沈むと、そこは起伏の少ない珊瑚の草原のような砂の海底。
探検モードの一本目とは異なり、二本目は優雅にお散歩を楽しむような穏やかなダイビング。
珊瑚のお花畑の上をゆらゆらと泳ぎ始めた、
その時でした。
腰が突然フッと軽くなるのを感じて、
ウエイトベルトが滑り落ち、あれよあれよと底めがけて落下していったのです!
ウエイトベルトとは海中の浮力を調節するために腰に付けるおもり。
このおかげで浮き上がる体を水中にとどめ、海の中で中性浮力を保つ手助けをしてくれるとても重要なものなのです。
バックルの締めが甘かったのでしょうか。
ウエイトベルトを失った体が途端にふわーっと浮き上がり始め、
慌てて頭を下に、足を天井に、
つまり体を垂直に立てて、海底めがけて必死で泳ぎました!
なぜなら、ダイビングにおいて急浮上は危険中の危険行為。
海の深い場所から水面へいっきに上がると体内に急激な気圧の変化が生じ、減圧症を発症する可能性が高まるのです。
その症状は、めまいや難聴、頭痛、しびれ、呼吸困難など、また、最悪は死に至るというとても恐ろしいもの!
(以前、減圧症にかかってしまった友人から話を聞いたけれど、なかなか壮絶でした・・・)
ダイビングは、始めに一番深い場所へ降りてから、ゆっくりと深度を上げていき、
ラストの水深3~5m地点に差し掛かるとそこで3分ほど留まって、体内に溜まった窒素を排出する『安全停止』を行い、減圧症を防ぐのです。
このタイミングで減圧症になんてなってしまったらアウト。
明日の深夜発の便を皮切りに、日本へ向かうロングフライトが待っているのですから!
そもそも、その症状自体が恐ろしすぎるし。
やだやだ、浮き上がりたくないーーー!!!
ベストの空気を抜きながら、ひたすら海底に向かってジタバタ泳ぐ私。
その明らかなる異変に気付き、こちらへ向かって泳いできてくれたのはインストラクターの一人。
彼女は私の腕を掴み、体をホールドしてくれてやっと落ち着きを取り戻しました。
身振り手振りのジェスチャーで、ウエイトベルトが腰から落ちてしまった事を彼女に伝えます。
どこに落ちた?
二人でキョロキョロ海底を見回し、
「あった!」
インストラクターが早速ベルトを取りに泳いで行ってしまったので、
彼女の手が離れた私の体はまたフワッと浮き上がり、再び頭を下に向けてワタワタ泳ぎ。
落ちたウエイトベルトを拾ってこちらに戻り、腰にセットしてくれてやっと浮力が収まりました。
間一髪、なんとか事なきを得たようです。
びっくりしたぁ。
ウエイトベルトが外れてずり落ちるなんて想定外だったよ。
すぐに見つかって良かった。
グッ!
親指を立ててインストラクターにOKの合図を送り、
さあ、ダイビング再開!
のはずだったのですが。
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はれ?
伸ばした手の先になんの感触もない。
視線を胸元に移すと、
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カメラ!
水中カメラが、ない!?
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慌てて首元に手をやると、ストラップすらもない。
え?どっかに引っかかってる?
レギュレーター、BC、タンク、あちこちに腕を回して体中を撫で回しても、
ない、ない!!!
先ほど助けてくれた女性インストラクターを追いかけ、
「カメラがないの!私の体のどこかにカメラある?」
ジェスチャーで訴えて、体をグルリと回して見てもらったけれど、
力なく首を横に振る彼女。
やっぱり、ないんだ・・・。
一本目を潜った時は、ちゃんと首からかけたストラップをBC(空気ベスト)のベルトに絡ませていたけれど、
今回はしていなかったかも。
ただ首からかけていただけ。
海の中でも常に写真を撮っているから、カメラは手に持って離さないはずなんだけど、
ウエイトベルトが取れて、
慌てて頭を下げて何度か泳ぎ直した時に意識がカメラから完全に離れ、
その時にきっと、ストラップが頭からすり抜けちゃったんだ。
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インストラクターが、
「カメラ、下に落ちた?上に浮いた?」
と手のサインで私に問いかけます。
どっちだろう。
下・・・下に落ちたならきっと見つかる。
ウエイトベルトだってすぐに見つかったもん。
目を皿にして珊瑚の隙間の砂底を凝視してみたけれど、
冷静に考えて、
いや、下なわけない。
防水ケースに入れたカメラ。中には空洞があって、手を離したらいとも簡単に浮き上がっていくはずだ。
「上、だと思う。」
インストラクターにそう告げる私。
「上なら無理だわ。」
うん、そうだよね。
そりゃそうだ。
水面に、それこそ急浮上した私のカメラちゃんは、
波にさらわれ流されて、航海の旅へ出てしまったというわけか。
「ありがとう。もう大丈夫。続けます。」
諦めて、ダイビングを再開してもらいました。
グループのみんなにも、時間を取って迷惑をかけてしまったから。
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珊瑚を、お魚たちをボンヤリ眺めながら、心はここにあらず。
意外にもショックは少なく、今後の対応を冷静に分析し始めている自分がいました。
いや、ショックはショックだけど、
素晴らしいブルーウォールや安全停止の沈船ポイントで撮りまくった写真たちがゼロになってしまった事は悲しいけれど、
昨日バイクを借りて座礁船をシュノーケリングした分のデータは、昨夜のうちに全てハードディスクに移してあるから被害は最小限。
(写真を撮ったら基本その日の夜にバックアップが私のルーティン。この習慣にまた助けられました。
前回のブログにも水中写真をたくさん載せられましたしね♪
旅行中のみなさま、改めて言います。バックアップは大事ですよ!!!)
もう帰国目前だから、海外でコンデジを探す必要もない。
帰ったら日本でまたすぐに買えばいい。
えっと、保険は、
うん、請求できるよね。
カメラも防水ケースもこの旅の出発前に買ったものだから比較的新しいし、領収書もちゃんと残ってる。
全額とは言わないけれど、ほぼカバーされるはず。
せっかくなら日本で後継機種のMarkII買っちゃおうっと!
ダイビングが終わってオフィスへ戻ったら、保険請求用の書類を作成してもらわないとな。
日付と事故の経緯と、なくなった防水ケースにカメラの機種を記載、ショップの印鑑もちゃんと押してもらって。
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海の中にいる事すら忘れているくらい、
無意識に泳ぎながら、カメラの事だけをグルグルと頭の中で思いめぐらせていたら、
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え!?
珊瑚の隙間から、巨大で太くて長ーい緑色の生命体、
絶対に魚じゃない、海蛇でもない、ナマズ?ドジョウ?いや違う。
とにかく、ヘンテコな生き物がヌルリと姿を現して!
私の顔面20cmほど近くまで、漫画のようなコミカルな顔をグーッと近付け、
そんな私をあざわらうかのように、
なんと、ニカーッと笑ったのです!!!
なに?なにこの子。
見た事ないよこんな生き物!
あまりにも鮮やかな、ミントグリーンのぶっとい巨大ニョロニョロ!
可愛いすぎるっ!
カメラカメラ、
て、カメラないんだったーーー!!!
「ほーら、カメラの事なんて今は忘れてさ、海の中を楽しまないと!」
多分その子はそう言ってた。
(いや、私を食べようとしてたのか!?)
キス寸前くらいの至近距離で!?
ニョロニョロちゃんはくるりと頭を方向転換し、
何事もなかったかのように、ヌーッと珊瑚の森へ消えていきました。
サンアンドレス島の海の主か、
それとも海の妖精!?
うん、確かに。
そうだね。その通り。
写真撮影はナシ。
なくしたカメラの事ももうナシ。
今は、全意識をこの美しい神秘の世界に向けて、
残りの海の冒険を、
この旅最後のアクティビティを、
しっかり楽しまなくちゃもったいないよね!
ニョロニョロの助言に従い、気持ちを切り替えて、
旅の間はほとんどない撮影なしの貴重な時間を、ダイビングを心ゆくまで楽しむ事に決めました。
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二本目のダイビングも無事に終わり、
海から上がってボートへ戻ると、
「なんか、すんごい生き物があなたに近付いて行ったわよね!FUNNYだったわ〜!」
お客さんたちにそう言われ、彼らもその様子をしっかり見ていたみたいです。
ニョロニョロちゃん。
でもやっぱりあの愛くるしいお姿を、笑顔を、
写真に撮ってブログでお見せしたかったよ〜!
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その後、オフィスに戻って書類を作成してもらい、
夜は保険会社に事の顛末を電話して、
後日、帰国して全ての請求書類を郵送し、
防水ケースとカメラの分。
ちゃーんと保険は振り込まれました♪
旅の保険は安全を買うためのかけ捨て。
なるべくなら使わずに帰りたいといつも思うのに、
今回も色々と、本当に色々とお世話になってしまいました。
ありがたや・・・。
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ちなみに、今回なくなったのはこの子たち。
ああ、今頃どこかの浜辺で誰かに拾われて、第二の人生を送っているかしら。
だといいけど!
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最後に、サンアンドレス島でお世話になったダイブショップのリンクを載せておきますね!
ファンダイブ2本で、当時のレートで7000円弱。
格安ですよね!?
島にはきっと様々なダイビングポイントがあると思いますが、BLUE WALLがとにかくオススメ!
是非、あの感動を体感してきてくださいね♪
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旅の最終日に待ち受けていた最後の(だと願うw)災難を乗り越えて、
次が本当の中南米ラスト記事。
どうぞ最後まで見届けていただけると嬉しいです!
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