東京タワー3個分
ツアー二日目。
昨日は言わば前座。今日がツアー本番です。
ギアナ高地のジャングル奥深くに流れるエンジェルフォールに会いに行きます!
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ツアーメンバーは、
2年弱世界一周の旅を続けているスワ君と、
リヤカーを引いて日本、世界各地を旅する冒険家の塾長、
私、
の日本人三人。
それから、今日カナイマに到着したヨーロピアンカップル。
今日はボートで4時間の移動の後、
ラスト約一時間のトレッキングを経てエンジェルフォールとご対面なるそう。
そして、今夜は滝のふもとのロッジに泊まる予定です。
ボートで4時間はなかなかの長旅だな。
ん?
ボート?
て、これ、昨日滝巡りした時と同じタイプの小船〜!
これで4時間はなかなかハードだぞ?
直射日光を遮る屋根もないし。
と一瞬不安に思ったのですが、
風、水しぶき、めくるめく絶景。
五感フル活用の4時間はあっという間でした!
いつものバス移動と比べると快適性利便性はもちろん劣るけれど、
どんぶらこと揺れるサバイバルな小船の方が、有意義な移動時間を過ごせた事は間違いありません。
だって、
ずーっとこんな景色を眺めていられるのですから!
(水しぶきからカメラを守りながらね!)
こんな景色。
いや、これは塾長の熱い背中でした。
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かっこいいテーブルマウンテンがバンバン現れる!
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スピーディーにくるくると変化していく景色、飽きる事は全くありません。
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途中トイレ休憩に立ち寄った砂浜。
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タンニンが染み出した水は真っ赤に色付いています。
小石も可愛らしいピンク色をしていました。
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ここに来てまさかのまさかの!
こんなところに日本人、
Part.3!!!
「あの人たち、日本人?」
「中国人じゃない?」
「いや、あれは日本人やで!」
団体さんを乗せたボートも浜辺に上陸。
その正体は!?
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我が同胞、日本人の団体旅行の方々でした!
今、この時期に、混迷を極めているベネズエラに、日本からはるばる短期旅行でやって来る人たちがいるなんて・・・!
本当に本当に驚きで。
年配の方が多いツアーグループ。
ベネズエラを選ぶって事は、相当のマニアックな旅行通たちと見た!
そして、かなりのお金持ちに間違いない。
興味津々でおじさまに声をかけてみました。
「こんにちは!日本からですか?」
「そう、僕たちはエンジェルフォールとテーブルマウンテンを見にツアーでやってきたんだよ。
この後ヘリコプターでロライマ山を遊覧するんだ。」
「このタイミングでベネズエラを選ぶなんて珍しいですね!」
「ギアナ高地に来たかったんだよ〜。君たちは学生さん?」
「いいえ、それぞれ仕事を辞めて海外を長期旅行をしていて、私たちは偶然このカナイマで出会ったんです。」
「へえ。長期旅行か。いいねえ。けど、そういうの日本では評価されないもんねえ。」
・・・・・・・
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予想外の返答に、言葉が詰まる私たち。
確かに確かにその通りです。
職務経歴にポッカリ穴のあく空白の数年間。
30過ぎて仕事を辞めて世界を放浪してました、なんて言っても、世間からしたら、は?であって、
それはきっと、「変わり者」以外の何者でもなく、
社会不適合者と捉えられる事もあるかもしれない。
就活にも婚活にもなんの役にも立たないどころか、むしろデメリットが大きいような。
本人にとっては意味のある数年間でも、キャリアという側面では大きなブランクですよね。
でも、
私は、社会に評価されるために旅しているんじゃない。
大義名分もなく、誰の役にも立たない、
完全に自己満足のワガママな選択。
けれど、自分の欠けた部分を満たすためにどうしても必要な手段が、私にとって「旅」だったのです。
いつか、こんな自由気ままな放浪の旅も終わりを迎え、その後苦労する事も多いかもしれないけれど、
そして、「旅」を選んだために失ったものももちろん多いけれど、
得たものも有り余るくらい大きくて。
マイナスを色々差し引いても、自分の選択に一寸の後悔もないと断言できるのです。
旅をしたからこそ強く感じる、多様性。
他を認め合うことの重要性。
生きる方法に正解もお手本もなくて、100人いれば100通りある。
多種多様。
世界には、国も人種も肌の色も価値観も文化も宗教も環境も違う人間が、73億人住んでいる。
それぞれが、与えられた環境と自らの選んだステージで輝けばいいんじゃないか、と。
比べるではなく、人に指図されるでもなく、
自分の選択と責任で。
地球の裏側のベネズエラ。
こんな辺境の地で偶然に出会った、今目の前にいる同胞のおじさまだって、
社会に、誰かに評価されるためでなく、
自分のパッションに従って、
大きなお金を使って、まだ見ぬ世界にワクワク夢を描いて、
はるか遠く彼方日本から飛んできたはずだから!
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「エンジェルフォール、お互いバッチリ見えるといいですね!気を付けて、良い旅を!」
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再び小船に乗り、エンジェルフォールを目指します。
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ラストスパートは、
アクションゲームのように、次々と迫り来る大岩をトリッキーに交わしながら迫力満点!
リアルスプラッシュマウンテン。
後方のエンジンコントロール係と、前方のオールを使って舟先を操縦する係。
二人の巧みな連携プレイがお見事でした。
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やがて、
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ついに見えた!
天高くそびえる大岩の隙間、白糸を垂らすエンジェルフォール!
でも、
空がどんどん曇りがちになってきているのが気になる。
さっきまであんなに晴れてたのに。
実は、この道中何度かエンジントラブルに見舞われ、とっくに予定の4時間を過ぎ、到着がかなり遅れていたのです。
それに、
よく見たらエンジェルフォール東向きじゃいの!
これじゃ晴れても逆光になるし、曇りは曇りでどんよりだし。
エンジェルフォール鑑賞、東日が当たる午前中の方が絶対にいいよね!?
明日の朝にまた見られるかな?
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ようやく終着点に辿り着いたようです。
小船を降りて、ここから1時間のトレッキング。
雲行きも怪しいし、日もだいぶ傾き始めている。
暗くなる前に滝を目指さなければ。
バックパックなどの大きな荷物を小船に置きっぱなしにして、Alexの先導で一行は歩き始めました。
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小川を越え、森の中へ。
やがて獣道は上り坂に。
カップル二人はだいぶスロウペース。
対照的にスワ君と塾長は超ハイペース。
私は前を行く二人を追いかけるように頑張って早歩き。
けれども徐々に二人に引き離されてしまいました。
さすが体育会系の男たち、山登り早過ぎ。
それでも、お天気が心配で、
スピードを緩めることなく必死で登り切ると、
視界が開けたポイントに到達!
ついに、エンジェルフォールのミラドールに辿り着きました!
ドバイのブルジュ・ハリファ(828m)よりも高く、
東京タワー(333m)を3つ重ねたよりちょっと低い、
その高さ979m!
これが、世界一の落差を誇る滝、エンジェルフォールだ!!!
なんか、滝を目の前にしてもその高さにピンと来ない。
あのてっぺんがブルジュ・ハリファより高いんだ。
て、ブルジュ・ハリファを見た事ないんですけどね。
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圧倒されつつホウッと眺めていると、
それは一瞬の出来事でした。
どこからともなくモクモクと現れた霧の雲。
あっという間に岩を覆い尽くし、エンジェルフォールを隠してしまいました。
真っ白で何も見えない!
このミラドールからさらに歩いて、滝壺の方へ移動します。
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そこは天然のプールになっていました。
またもやフワッ雲が晴れて、幻のように再び姿を現してくれたエンジェルフォール。
と思ったらすぐに雲に隠れて。
ついに小雨がパラ付き始めてしまいました。
荷物を岩陰に隠し水着になってひと泳ぎするも、雨は一向に止む気配がありません。
「暗くなる前にここを引き上げよう。」とAlex。
不完全燃焼だけど、
雨がひどくなる前に、日が暮れる前に戻らなきゃ。
あ〜あ。
今日はお昼過ぎまであんなに晴れていたのに〜!
出発時間は遅れるわ、小船のエンジントラブルで何度も止まって待ちぼうけを食らわされるわで、
ちょっとツアーの段取り悪いんじゃないの〜!?
「今日はこの近くのロッジに泊まるでしょ?明日の朝一でまたここに来ていい?」
「明日の朝はすぐにカナイマに戻らなければいけないから、ここに来る時間はないよ。」
え〜〜〜!?
そんなぁ。
フライト含め300ドル以上払って、ハイライトのエンジェルフォールがたったこれだけなんて。
今日は一日十分に時間あったのに!
なんか、
なんか、納得行かない!
「明日、俺ら3人で早起きしてここに登りに来ようか?急げば片道45分やで。」
「うん、そうしよう!」
こっそり秘密の作戦会議!?
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後ろ髪を思い切り引かれながら、エンジェルフォールを後にします。
元来た道を再び下っていくのですが、
小ぶりだった雨は強さを増して、気付いたらジャンジャン土砂降りに!
日もすっかり暮れて、辺りはみるみる暗くなってきました。
カメラバッグごとビニール袋にくるんだ一眼レフを、全身で雨から守るように抱え込みながらの山歩き。
両手がふさがっているので、より足元に注意を払わなければいけません。
足元は濡れたゴツゴツ岩場だったり生い茂る草木だったりで、
こ、怖い・・・。
6人の列が、森の中、慎重に歩みを進めます。
かなりのゆっくりペースだったために、登りよりも時間がかかってしまった帰り道。
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岸辺に戻り、待機していた小船に乗り込みました。
次はロッジへ向かいます。
ここからまた川を移動するとは想定外だった。
明日の早朝自分たちだけでエンジェルフォールに来る予定なんだけど、ここまでまで来れるのかな?
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大雨で荒れ模様の川を渡り、小船を降りて今夜の寝床に辿り着きました。
ロッジと言っても、柱に屋根が乗っかっただけの完全吹きさらしのスペース。
今夜は柱にハンモックを吊るして寝るみたいです。
外はもうすっかり真っ暗で、電気なんてあるわけもなく、ロウソクかトーチの灯りだけが頼り。
そして、その灯りの先には・・・。
ぎゃっ!!!
あっちにもこっちにも大きめサイズのMr.Gだらけ。
はぁぁぁ〜心折れそう。
びしょ濡れになった服を着替え、タオルで体を吹いて。
カメラバッグの中を確認すると、幸い中には浸水していませんでした。
ちゃんと守ってあげれて良かった。
スコールみたいな大雨は、いつの間にやらシトシト雨に変わり、
ロッジの外の小屋では、Alexたちが火を炊いて肉を焼き始めています。
そういえば、今日はパンとビスケットしか食べていない。
お腹空いた〜。
お待ちかねのディナータイム。
暗くて写真は撮れなかったけれど、こんがりチキンの丸焼きに、サラダと白ご飯。
ツアー中で一番美豪華なディナーでした!
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Gの巣窟ロッジだったけれど、
ハンモックの上だと安心して、
気付いたらコトンと眠りに落ちていました。
(トイレに行くのが毎回怖過ぎたけどね・・・)
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翌朝。
早い時間にかけておいた目覚ましでまどろみながら目を覚ますも、なんだか天気はあまり良くなさそう。
川も渡らなきゃ行けないし、こりゃーエンジェルフォール、無理だな〜。
と、早々と諦め二度寝。w
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6時過ぎ。
みんな起き出して朝食タイム。
朝ご飯もだいぶ充実してる!
お腹を満たして帰る準備を整えたら、
小船に乗ってカナイマへ戻ります。
朝方雲っていた空はすっかり晴れて、
頭上に広がる爽やかな青空が気持ちいい!
あ〜こんなお天気の中、太陽の光を浴びるエンジェルフォールを見たかったよう〜(泣)
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やっぱり、
このツアーの段取り、改善の余地大有りだと思う。
私は提案したい。
二泊三日を、もうちょっとエンジェルフォールにフォーカスしてスケジューリングすべきだ、と。
午前中にカナイマに到着するお客さんをピックして初日にふもとのロッジまで移動して宿泊、
二日目の朝にトレッキングして滝を見に行くのがいいと思う。
滝は東向きだから、順光でより迫力のある神々しい景色が拝めるはずでしょ?
そしてお昼過ぎにカナイマに戻り、
三日目の午前中に近場の滝巡り。
この流れがベストだと思います!
この訴え、彼らには届かないけど。
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帰り道は、
行きがけとはまた違った、素晴らしい絶景の連続!
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凪いだ水面に完璧なリフレクション。
途中で小さな滝に寄って、ちょっぴり川遊びタイム。
(いや、だからこの時間を朝方のエンジェルフォールトレッキングに使おうよっ!w)
川の流れの影響で、帰りは1時間以上も早くカナイマに辿り着きました。
お昼前にカナイマのロッジに戻り、荷物をまとめてチェックアウト。
空港へ向かいます。
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念願の、
セスナで空からエンジェルフォールを見る!は、
残念ながら叶いませんでした。
やっぱり、人が集まらなかったみたい。
本当に観光客が激減のベネズエラなのです。
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その代わり、
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シウダー・ボリバルへ帰るフライトは、とことん窓の外の景色を楽しみました!
離陸直後に右手に見える、
初日に訪れたロッジ裏の滝を俯瞰で見てから、
テーブルマウンテンたちにサヨナラして、
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絵画みたいな不思議な沼地に目が釘付けになって。
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窓に張り付いて外を見ていたら、あっという間にシウダーボリバルに着陸です。
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今回のツアーを振り返ると、
ハイライトのエンジェルフォールより道中の景色の方がより感動した気がしないでもないけれど。
ベネズエラが誇る自然遺産のひとつ、世界一落差の高いタワーのような滝をこの目で見る事ができて。
(やっぱりエンジェルフォール滞在時間にちょっぴり不満が残るけれど、
もう少し辿り着くタイミングが遅かったら、雲に隠れて雨が降って滝が見えなかったわけだし。
間一髪その姿を拝めてラッキーだったと思おう!)
また一つ、私の自己満足が満たされるのでありました!
日本からはるばるやってきた団体ツアーの方々も、
この素晴らしいエンジェルフォールをどうか見られていますように!
昨日の夕方には滝で会わなかったから、多分天気がおもわしくなくてトレッキングを翌日に延期したのでしょう。
そこは、フレキシブルかついっぱいお金をかけた完全チャーターの団体旅行だし!
きっと、彼らは今日の午前中に滝へ向かったんじゃないかな?
だとしたら、今日はお天気も抜群だし、最高に美しいエンジェルフォールとご対面したはずです!
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さて、
この国最大の目的を果たしたわけですが、
まだもう少し、私のベネズエラの旅は続きます。
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