美しき巨大迷路
色で例えるなら強烈な深紅。
それから毒々しい赤紫。
一度迷い込んだら簡単には抜け出せない、妖しくも美しい巨大迷路。
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キチェ
と聞いて、
私世代の、学生時代に好んで漫画を読んだ女性ならピンとくる方もいるのでは。
当時、数々の名作を世に放った花とゆめコミックスの、通称「ぼくたま」
僕の地球を守って
そう、前世と現世、地球と月を行き来する、あの壮大な近未来SF少女漫画です!
あの頃はいっぱい漫画を集めたなぁ。(遠い目)
大人になった今、ほとんど売っぱらってしまい手元に残っていないのですが。
その通称「ぼくたま」の主人公ありすの前世、モクレンは、
キチェ・サージェリアンでしたよねっ!?
思い出しました??
(男性陣、または平成生まれのお若い方、置いてけぼりでゴメンナサイ。
うんうんと頷いてくれる同世代の方いらっしゃるはず♪)
キチェと聞いてまっさきに「ぼくたま」を思い出した昭和生まれ、元漫画好きの私ですが、
これから訪れる場所はマヤ民族の末裔、キチェ族の暮らす街なのです。
決して異星人でも超能力を持つ人々でもありませんが。
ぼくたま世代(?)の私としては、ちょっぴりときめいてしまう響きなのでした。
その街の名は、
チチカステナンゴ。
キチェ族の言葉で「トゲのある紫の木の生える大地」を意味するそう。
なにか意味深・・・。
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アティトゥラン湖からはいったん離れて、パナハッチェルから北へ約40kmほど移動。
この街では毎週木曜日と日曜日に盛大な市が開かれるということで、
日曜日を狙い、チキンバスと呼ばれるローカルバスを乗り継いで、パナからチチカステナンゴへ日帰りで行って来ました。
本日の最終目的地でバスを降りると、そこはもうマーケットの端っこ。
路地の入り口の果物露店でまずは栄養補給。
腹が減ってへ戦ができぬ、ですから。
小腹を満たすためにカットフルーツの詰め合わせをいただきました。
大きなプラスチックカップに切ったばかりの新鮮なフルーツがたっぷりと詰まっていて、
中身はメロン、パイン、パパイヤ、マンゴー、スイカなど。
好きな果物を指定して詰めてもらう事もできるし、プチプラ価格で手軽にビタミンと水分糖分が採れるので、
中南米ではよくお世話になりました。
ほどよく喉を潤したところで、
いざ、露店がひしめき合う路地の中へ潜入!
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ウイピルが、雑貨が、洋服が山ほど積み上げられ天井からぶら下がり、
目がチカチカ、両脇から頭上から色の洪水に押しつぶされるようです。
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キチェ族の女性の衣はとにかく華やかで色鮮やか。
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一着仕上げるのに、一体どのくらいかかるのだろう?
びっしりと細やかな絵柄、模様の刺繍が布を覆い尽くしています。
これでもか!というくらいカラフル。
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そんなわけで糸屋さんも多く、
絵の具のように色が細分化されています。
刺繍パターンの下絵なんかも売っていました。
なるほど、この通りに縫い上げたらあの美しい模様ができあがるのか。
気が遠くなりそうなほど緻密です!
巨大市場の一角、ウイピルセクション。
この通りは、
さながらショッピング中の女性たちが群がるデパートの衣類コーナー!
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やっぱり女性のお洒落心は世界共通なのですよね!
お洋服を選ぶ姿は真剣そのもの。
あーでもないこーでもないと品物を物色する様子はなんだか微笑ましい♪
そこへ・・・、
とんでもない美女を発見!!!
ミス・キチェ族!?
おそらく彼女はグアテマラ版モクレン!
多分、キチェ・サージェリアン!!!
by 僕の地球を守って(しつこいw)
ああ、でも本当に。
一人別次元で美しかったなあ。
思わず見惚れてしまうほど。
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このマーケットの中央、
路地を抜けると、
太陽の光を受けてひときわまばゆくそびえる白亜の教会が突如姿を現します。
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教会の前の階段はびっしりと花売りで埋め尽くされています。
この石段はマヤ時代の名残。
18段あって、マヤ歴の1年、18ヶ月を表しているそう。
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教会の床にばらまく薔薇や、お供え用のお花が売られています。
入り口前には、
香炉を降りながら延々と煙を焚くおばあちゃん。
ちょっぴりドキドキしながら教会に入ると、
そこは、神殿のような外観とはほど遠い別世界が広がっていました。
キチェ族の、土着の宗教。
薄暗い教会の中を差し込む灯りとおびただしい数のろうそく、立ちこめる煙、お花、お供え物、
床に突っ伏して、何かをブツブツ唱えながら無心に祈りを捧げる人々。
どうして人は、こんなにも祈るのだろう。
世界を旅していると肌身で感じる。
宗教の力を。
祈りが人を動かすパワーを。
それは、日本で生まれ育ち、祈りとは縁遠い環境で生きてきた私にとって理解の範疇をたやすく越える。
とにかく、その力は半端なくすごい。
世界中の素晴らしき美術、建築、音楽、
芸術のほとんどが、宗教によって生まれたものだから。
煙と香の匂いに包まれて、
目の前で、無心に祈るキチェ族の人々を眺めていると、
意識がぼんやりと遠退いていくようです。
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巨大な市場迷路も、この祈りの空間も。
妖しく、美しく、混沌として、神聖で。
このまま眠りから覚めずに夢の中でまどろんでいたい、そんな気持ちになるような、
抜け出せない、抜け出したくない、
心を捉えて離さない、なにか不思議な魔力が宿っているのでした。
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まだまだ魅力たっぷりのチチカステナンゴマーケット。
後半へ続く!
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