【カミーノ42】BUEN CAMINO!
<カミーノ42日目>
膝を痛めて動けなかった休息日も含めるとトータル43日。
実質歩いた日数は36日。
800kmの道のりを歩いた私のカミーノ物語が、
ついに終わりを迎えます!
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はい、寝坊したーーーー。
まあ、あらかた予想は付いていましたが。
いつものことですね。
イビキの襲撃がない静かな個室、大きなベッドを一人のびのびと占領し、穏やかな睡眠を勝ち取った日の翌日は、
寝坊までがお決まりのワンセットなのです。
いつもと少し違うのは、目覚めたその時間。
時計を見ると、9:30て。(苦笑)
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂まで残り2kmという油断に加え、
昨日は42kmもの長距離を歩いた上に、閉店の夜22時まで約2時間もショッピングモールをウロついて疲労困憊。
一応アラームはセットしたはずなんだけど、
多分、最初から早起きする気なんてさらさらなかったんだろうな。
どうにも気合が入らないままグダグダと身支度を整えて、
ホテルをチェックアウトし、最後の巡礼路へ向かいます。
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今日のお天気はラストを飾るにふさわしいピカピカの快晴!
とまでは行かなかったけれど、
天気予報によると昨日から5日間は雨マークだったのを思えば、
降雨量の多いガリシア州でこの曇り空はまずまず上出来かな。
たった2kmなのに、
その2kmがやけに長く感じる今日の道のり!
理由は明らかです。
昨日の歓喜の丘を境に、完全にカミーノスイッチが切れてしまっている!
いやいや。
まだ終わっちゃいけない。
巡礼証明書を手にするまでは!
それでも、
さすがに、カテドラルの尖塔が近付くにつれて気持ちが少しずつ高揚し、
ちょっぴり涙目にもなったりなんかして。
順路に従い、
裏手からグルリと迂回してオブラドイロ広場に回り込むと、
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私の到着を待ちわび、両手をいっぱいに広げて歓迎してくれているかのような。←妄想
神々しい存在感。
これぞラスボスといった?威厳たっぷりにそびえる荘厳なシルエット。
やっと、
ついに、
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サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂に到着ーーーーーーーー!!!!!
って、アレーーーーー!?
なんですか、この工事現場はーーーー!!!
溢れかけた涙も引っ込む、立ち入り禁止感満載の痛々しいお姿。
美しいファサードを覆い隠す無機質な骨組みの足場と、街の景観に不似合いの原色ブルーシート。
垂れ幕の「PESCA」の文字は工事を請け負う建設会社の名前ですかね?
でも、こればかりは嘆いても仕方ありません。
文化的遺産は、修復を重ねながら後世に守り継いでいかなければいけないのだから。
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サンティアゴ・デ・コンポステーラ。
イエス・キリストの12使徒の一人、聖ヤコブ。
スペインで布教活動を行いエルサレムへ戻った後、キリスト教迫害の時代にユダヤの王に殺されて、
ヤコブの遺体を乗せた石の小舟が星の導くままに流され辿り着いたと言われる場所。
時を超えた現代も、
ヤコブの亡骸が眠る聖地を目指し、巡礼者たちは星の道を歩きます。
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大聖堂前のオブラドイロ広場は、
観光客の団体や、記念撮影にいそしむ晴れやかな表情の巡礼者たちで賑わっています。
私はというと、
自分の写真を撮ることもせずに、人々を眺めながらぼんやりと佇んでいました。
今の素直な気持ち。
カミーノが終わってしまう寂しさもあるし、
未知の挑戦を成し遂げた喜びもある。
けれども。
あんなに恋い焦がれたサンティアゴ大聖堂を前にして、
浮かれ気分はなく、驚くほどいつも通り。
平常心の私がいるのです。
気持ちの中では昨日がゴールだったのかもしれない。
最長距離の挑戦と、サンティアゴ・デ・コンポステーラの街を見下ろす歓喜の丘。
丘の上から眺める街並みは、カミーノ史上最高の景色に映ったし、
まさに絶頂、湧き上がる達成感に思う存分酔いしれた。
今は、既にもう過去の出来事みたいで。
濃密で愛おしいカミーノの日々は、一日、一日と過ぎ去って、
時間も、自分自身も着実に前に進んでいる。
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巡礼路が導いてくれた場所は、ゴールだと思い込み目指していたコンポステーラは、
実は単なる通過点でしかありませんでした。
ここから先はホタテ貝の目印も、黄色い矢印もなくて、
自らの道を切り開いていかなければいけない。
それはもっと自由で輝いて、可能性に満ち溢れているもの。
私の視線は大聖堂のその先の、
未来に向いているのでした。
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パラパラと小雨が降りてきたので、雨宿りがてら巡礼事務所を目指すことにしました。
到着手続きをして巡礼証明書をもらわないと。
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カテドラルにほど近い巡礼事務所へ。
中に入ると、
うわ!
長蛇の列!
昨日はせっかく街の2km手前で宿を取ったというのに、
朝一に出発していればこのような混雑に巻き込まれる事もなかったはず!
11時までに到着手続きを済ませると、その日の正午のミサで名前を呼ばれるらしいのだけど、
列に並んでいたら11時はおろか、ミサにも間に合わなくなりそう!
バックパックを事務所内の荷物預かり所に置いてトンボ返り、カテドラルへ急ぎます。
大聖堂のミサにザックを持ち込むことは禁じられているのです。
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早めに入っていい場所を確保したかったのに、既にこちらも人だかり。
朝寝坊でスタートした一日は、全てが後手後手でなかなかいい波に乗れません。
やはり、早起きは三文の徳なのね。
結局ミサの時間ギリギリに、人混みに紛れながら大聖堂の中へ。
案の定、木のベンチはあっという間に埋まってしまいました。
あら、
でも、案外こちらの方が特等席かも!?
柱の下に陣取って腰をかけると、
なんの遮りもなく、祭壇は目の前!
ちょっぴりズルしてる気もするけれど、我ながらなかなかナイスなポジション取り。
しかも、運良く「あの儀式」が行われたら、ここからの眺めは迫力満点なはず!
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正午をまわり、大勢の司祭たちがゾロゾロと登場し始めました。
さすがコンポステーラのミサ、今までに見たことのない規模の大きさです。
祭司たちが祭壇下に収まると、
厳かな雰囲気の中、巡礼者のためのミサが始まりました。
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ミサは1時間ほど行われたでしょうか。
今か今かと待ちわびた「あの儀式」、
ボタフメイロはついに姿を現さないまま、ミサは終了してしまったようです。
残念!!!
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ボタフメイロ。
カミーノを歩く前、事前予習にと視聴した映画「星の旅人たち」 の劇中で、
コンポステーラに辿り着いたトムと仲間たちが参加した、大聖堂のミサのクライマックスシーン。
重厚なパイプオルガンの音色が響き渡る中、
長いロープに吊るされた巨大な香炉が煙をモクモクと上げながら、
巡礼者たちの頭上を振り子のようにブランブランと行き来する、不思議で神聖な儀式。
その映像が強く印象に残っていたものだから、
ゴールした暁には、サンティアゴのミサでボタフメイロを一目見たい!とずっと願っていたのです。
ボタフメイロはガリシア語で「煙を吐き出すもの」という意味。
かつての巡礼者は道中で体や髪を頻繁に洗うことがなく、教会内で異臭を放っていたので、
香炉の煙で匂いを清め、空気を浄化する役目があったのだとか。
現在は特別な式典の日か、団体の献金などがあった時にのみ発動するらしく、
レアなイベントと化しているようです。
ちょうど4日前にサンティアゴにゴールしたsetsuo君たち三人組は、
参加したミサにたまたま日本人の団体観光客が居合わせて、
彼らによる多額の寄付の恩恵に預かり、運良くボタフメイロの儀式を見られたと言っていたから私も期待していたんだけどなぁ。
setsuo君たちはラッキーだったんだね。
羨ましいなぁ!
ああああ、見たかったなー!
空中ブランコのボタフメイロ。
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ミサを終えて外に出ると、雨雲はどこかへ消え去って、空は爽やかに晴れ渡っていました。
預けていたバックパックを取りに、再び巡礼事務所へ向かいます。
もちろん到着手続きをして、巡礼証明書をもらうつもりでやってきたのですが、
午前中にも増して、ディズニーのアトラクション並みの大行列!
こりゃだめだ。
巡礼事務所は毎朝8時にオープンするそうなので、
今日は諦めて、
明日の朝一を狙って出直すことにしました。
荷物だけ引き取り、そのまま予約していたHostal Costa Azulへ移動。
電池切れはなはだしく、
今朝も寝坊してたっぷりと寝たはずなのに、
そのままバタンキューとお昼寝モードに突入してしまいました。
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夕刻は、昨夜ショッピングモールで購入したワンピースに着替え、
今日の午後に無事サンティアゴ入りを果たしたhikaruさんとカテドラルの広場で待ち合わせ。
レストランが並ぶ通りに入り、二人してキョロキョロと辺りを物色します。
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ガリシア州といえば、やっぱり海鮮ですよね!?
活きのいいオマール海老と活きのいい客引きさんにつられ、
このシーフードレストランに決まり!
スペインのスパークリングワイン、CAVAでかんぱーい!
祝宴にふさわしいご馳走が運ばれてきました!
ボリューミーな海鮮盛り合わせのプレート♪
シンプルに調理された海の幸とシュワシュワのCAVAがたまらなく絶妙なコンビネーションで、
同郷の旅人と、お互いのカミーノ踏破を讃えあいながらいただくディナーは最高に至福!
(hikaruさんは私の倍の距離、2ヶ月間かけて1600kmを歩いてきたんだもの。
この日を迎える喜びはひとしおでしょう!)
もう少し飲みたいところだけど、
相も変わらず体中の痒みは一向に治る気配を見せず、謎の蕁麻疹体質は絶賛進行中なので、
今夜はほどほどで自粛しておきます・・・。
食後のコーヒーまでいただいて、
心も胃袋も満たされた、カミーノ最後の贅沢な晩餐でした。
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レストランを出てオブラドイロ広場へ戻ると、
夜のとばりが降りる頃、薄紫の空に浮かび上がり始めたライトアップのカテドラル。
修復工事のブルーシートと鉄骨を夕闇に隠したその姿は昼間に見た時よりも断然美しくて、
思わず立ち止まって見とれてしまうほどでした。
弦楽団の陽気な調べが広場を包み、
とてもいい気持ちで、黄昏の中をゆっくりとお散歩します。
東の空には上弦の月が昇り、
まるでロウソクのように十字架の先っぽに灯って、
コンポステーラの夜を淡く照らすのでした。
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カミーノの終盤で出会った、こんな風に歳を重ねたいと思わせてくれる素敵な人生の先輩、hikaruさん。
今度は日本で会えますように!
広場でhikaruさんとサヨナラをして、各々の宿へ戻ります。
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朝起きて、
顔を洗って歯を磨き、
足裏にワセリンを丁寧に揉み込んでほぐし、
圧着スパッツを履いて、洋服を着替え、
荷物をまとめたら靴紐をしっかり結び、バックパックを背中にしっかりとセット。
「よし。」
と気合いを入れて、ポールを両手にアルベルゲを出発。
そんな毎朝のルーティンも、明日からはもう必要なくなるんだ。
軽い興奮でなかなか寝付けなかったけれど、(いや、寝坊と昼寝で睡眠を取りすぎたせいだな。)
いつもと明らかに違う夜を感じながら、
ベッドに横たわり、目を瞑りました。
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翌朝。
あれを受け取らずしてサンティアゴを去ることはできません!
8時のオープンと同時に巡礼事務所へ。
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ところが、またもや既に長蛇の列!
朝一に来たのに、なんでーーーー!?
みんなどんだけ気合い入ってるの!
今日は「待つ」以外の選択肢はあり得ませんので、渋々列の最後尾に並びます。
意外とスムーズに順番がやって来て、
事務員さんに、私のカミーノの記録、軌跡が詰まったスタンプいっぱいのクレデンシャルを提示します。
無事、巡礼証明書GETーーーー!!!
出発地と歩いた距離を記してくれる有料の証明書と、
ついでに持ち運び用の筒も購入して。
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私のカミーノ物語は、こうして幕を閉じました。
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サンティアゴ巡礼を終えた今、
なおさら心に染み入る。
もっと深く、その意味を理解することができる。
あれは、カミーノを歩き始めてまだ3日目。
道中立ち寄った丘の上の小さな教会で、
何気なく手に取った1枚の紙切れが、私に教えてくれたこと。
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巡礼者は幸いである。
あなたは巡礼が終わった時に
本当の巡礼が始まることを知るのだから。
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■カミーノ42日目
2017/6/29 (木)
SANTIAGO de COMPOSTELA <2km>
ホステル / Hostal Costa Azul 個室34ユーロ Wifi ◎
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