【カミーノ2】想像以上の難関
<カミーノ1日目・後半>
雨、雨、雨につき写真はほぼありません。
カメラを取り出すタイミングも余裕もない、お天気最悪のカミーノ初日。
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バルカロスで休憩を挟み、残り折り返し半分の距離をまた歩き始めます。
巡礼者の姿は全く見当たらず、
国道の脇をとぼとぼと歩くのは私一人だけ。
やがて、ホタテ貝の道しるべが目に飛び込んできました。
ホタテに誘われ、国道を逸れて脇のあぜ道へ。
アスファルトの硬い道より緑に囲まれた未舗装道の方が好き。
足元グチャグチャになるけど。
(これ以降、雨がすごくて写真一枚もなし)
まだ慣れないせいか道しるべを見落としてしまうようで、
ホタテ貝をしばらく目にしないまま時間が経つと、
一本道を歩いてきたはずなのに、この道で本当に合っているのだろうかと不安が頭をかすめます。
本当に、まわりに誰もいなくなっちゃった。
道、迷ってないかな。
雨、もうやだ。
寒いし、荷物重いし、
はぁ、疲れたな。
心細さが極限に達しかけた時、
救世主現る!
前方に、スラリと背の高く目鼻立ちのくっきりとしたショートボブの美人さんが立っている!
そして、グッと親近感を覚える同じアジア人!
「This way is right?」
思わず近づいて話しかけてしまいました。
「Yes,Yes!」
良かったぁ!
「Nobody’s around me…
Thank you!
Buen Camino!!!」
巡礼路の合言葉は、いつでもどこでも「ブエンカミーノ」。
Good Luck!みたいな感じかな。
巡礼者同士で声を掛け合い励まし合う魔法の言葉。
私以外にもこの道を歩いていた人がいたことに、
そして道が間違っていないことにホッとしてその場を立ち去ろうとした時、
「日本人ですか?」
「あ、え?はいっ!」
まさか、この美女日本人だったとは!
同郷の旅人にこんなところで出会うなんて!!!
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彼女の名前はsakiさん。
宮城県石巻市出身の、マッサージ師の女性でした。
「私、ロンセスバージェスへの道が二通りあるなんて知らなくて。
当然のようにピレネー山脈を超える道を歩いていたつもりだったのに、
こっちはバルカロスルートという迂回ルートだったんですね。
全然知らなかった~。
ショックでした・・・。
sakiさんは知ってました?」
出会った初っぱなから愚痴る私。(苦笑)
すると彼女、
「今朝、サン・ジャンで泊まっていた宿に警察から電話があって、
ナポレオンルートは雪でクローズしているから行かないようにとの連絡が入ったんですよ。
ucaさん強運ですね!こちらのルートを選んで大正解ですよ!」
へ?
雪!?
そうだったのか。
全然知らなかった。
うちのアルベルゲ、出がけになーんにもそんな事は教えてくれなかったよ?
確かに悪天候のピレネー越えは危険だと聞くし、(ダニエルさんも嵐に遭遇してお亡くなりになられたくらいだし)
もう5月も半ばを過ぎたのに、この寒さで標高の高いところは雪が降っていたなんて!
じゃ、アンラッキーと思っていたこの道が、実はラッキーだったって事?
これぞヤコブ様のお導き???
今日はバルカロスルートで正解だったのね!?
優しいsakiさんの言葉に、お天気と同様どんより曇っていた私の心は少し晴れやかに!
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ちょっぴり立ち話をして、
この後はきっとまたロンセスバージェスで会うことになるから、
ここで一旦お別れをしてそれぞれのペースで今日のゴールを目指します。
標高マップAGAIN
下部ラインのバルカロスルートを見てみると、
2/3は比較的起伏の少ない道のりだけど、後半1/3は傾斜の急な上り坂がずっと続くみたい。
ピレネー越えのナポレオンルート、頂上の標高1450mには及ばずとも、
迂回ルートとは言えこちら側も紛れもなくピレネー山脈の一部。
ラスト10kmは、さらに苦しい道のりが巡礼者を待ち受けているようです。
恐ろしい・・・!
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切り替えた気持ちとは裏腹に雨足はひどくなる一方。
気温はさらに下がり、濡れた衣服が体温を奪い、凍えるような寒さが容赦無く身を突き刺します。
SJPPを出てしばらくは軽快だった足取りも、疲れと寒さと上り坂で途端にペースダウン。
休憩を取るために道の脇に座りたくても、大雨で岩も切り株もビショビショ。
荷物もあるし、落ち着けて腰を下ろせる状態ではありません。
道中、二人のアジア人女性と、何度か追い越し追い越されのすれ違いを繰り返していました。
他にも、この道を歩いている人がいた。
一人じゃない。
彼女らの存在に心強さを覚えます。
カミーノを歩く巡礼者は圧倒的に欧米人が多くアジア人は少数派ですが、
sakiさん始め、こうして初日から同士がいることが分かってなんとも頼もしい限りです。
とは言っても、大雨のバルカロスルート。
気付いたら、やっぱりすぐに一人ぼっちになってしまいます。
普段はキャリー付きのコロコロで旅をしている私が、重さ10kgと言えどバックパックを背負って歩き続けるのは想像以上に体力を消耗し、
距離を伸ばすごとに荷物が肩にのしかかり、足取りの重たい体をさらに沈めます。
何より一番の苦痛。
寒い・・・寒すぎる!
粗悪レインポンチョの中身は早くもビショ濡れ。
あまりの寒さに気が遠くなりそう。
心臓破りの坂道はいっときの休む間も与えてくれないほど、延々と上り斜面が続きます。
初日のピレネー越えは最難関。
覚悟はしていたつもりだけど、
王道ナポレオンルートには嫌われ、
地味にしんどく景色もイマイチのバルカロスルートに予想外の大雨!
お天気にまで打ちのめされて、こんなにも辛いものとは正直思ってもいなかった。
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ロンセスバージェスが果てしなく遠くに感じられ、もはや辿り着く気さえしない。
心が折れそうになりながらもなんとか山道を登りきると、
森を抜けた道の前の視界が開け、国道の脇に小さな教会がポツリと建っているのが目に入りました。
助かった!あの中で休憩させて~!!!
ふらふらと吸い寄せられるように教会へ向かうと、
入り口の扉は固く閉ざされて中に入ることができないではありませんか!
絶望。
ヤコブ様め、ドS・・・・!
このザーザー降りの中、雨宿りしてちょっぴり休憩することさえも許してはくれないの?
教会の小さなひさしの下に身を押し込んでなんとか雨をしのぎ(それでも暴風雨に打たれる)、
バックパックを一瞬だけでも降ろして束の間の開放感を味わいます。
はぁ、重かったぁ・・・。
やっぱりダーリン(一眼レフ)を連れてこなくて正解でした。
座る場所なんてないので休憩もそこそこに、再びバックパックをかついで濡れポンチョを纏い、
また雨の下に飛び込んで歩きを再開します。
一体、いつになったら見えてくるのかな。
半ば無意識で、ただ機械的に足が前に出ている状態。
朦朧とした頭の中、ほんの少しの気力のみで無心で歩き続けていると、
あ、あれは。
幻じゃないよね?
遠くに現れた、白壁の巨大な建物。
最後の力を振り絞ってその白い塊を目指し、
ようやく、小さな木の扉の前へ。
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これが・・・ゴール?
やっと、やっと辿り着きました!
本日の目的地、ロンセスバージェス!!!
もう〜死ぬかと思ったーーーー!(大げさ)
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ここは99%と言っても言い過ぎではない?
SJPPからフランス人の道を歩き始めるほとんどの巡礼者がここへ立ち寄り、一泊を刻むポイント。
ですから、ロンセスバージェスのアルベルゲは大容量で、収容人数はなんと180名以上!
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扉の中には道中で出会ったsakiさんの姿が!
「お疲れ様〜!」と声をかけ、彼女の元に駆け寄ります。
ラストの山道で何度もすれ違ったアジア人女性の二人も実は日本人だったという事がここで判明!
4人で列に並び、アルベルゲのチェックインの受付を済ませます。
配られた用紙に名前や国籍などを記入するのですが、手が震えてまともに字が書けません。
体が芯から冷え切っているのです。
クレデンシャルを取り出してスタンプを押してもらい、上階の指定のベッドへ。
修道院を改装したという大型のアルベルゲなので古びれた施設なのかと思いきや、
中は改装されたばかりなのか真新しくてとても綺麗!
二段ベッドは寝台列車のように向かい合わせに二つ。4人一区画で区切られ、
白木のベッドには真っ白なシーツが敷かれています。
同じ区切りのスペースにはsakiさんと私、そしてお母さん世代の日本人女性二人、安松さんと間所さん。
これだけ大人数の巡礼者が一堂に会するロンセスバージェスのアルベルゲで、今日の日本人は多分私たち4人だけ。
タイミング良く寝床も一緒になるなんて、ちょっぴり運命を感じます。
いや、運命共同体!?
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ベッドを整えたらすぐさまシャワーへ直行!
これだけの人数がいるのだから混雑を危惧していたけれど、良かった、まだ列はできていない。
冷え切った体をとにかくいち早く温めたくて、勢いよく蛇口をひねったら、
おお、神よ!!!
温度は熱々、水圧もばっちり!
これでぬるかったりチョロチョロだったら凍死寸前でしたよ。
ホカホカのシャワーの下でくるくる回りながら、体全体に満遍なくお湯をかぶり続けました。
浴びても浴びても底冷えはなかなか取れてはくれないけれど。
限られたシャワー室の数、あまり占領もできないし、
ひとしきりお湯を浴びて頭と体を素早く洗ったら、
体を拭いて、ロンTの上にユニクロライトダウン、レギンスに靴下に短パン履いて。(これが現在手持ちの最防寒スタイル。心もとない・・・)
ベッドに戻り、体が冷えないうちに寝袋に潜り込みました。
寝袋を頭まですっぽりかぶり、芋虫のように体を縮めて丸くしても、小刻みに震える悪寒は止まりません。
芯から冷え切った体はシャワーだけでは温まらなかったようです。
温泉に浸かりたい・・・。
いつの間にか寒気より疲れが上回ったようで、
コトリと眠りに落ちていました。
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1時間ほど眠っていたようです。
体温はだいぶ上がり、体の震えは治まっていました。
このアルベルゲにはありがたいことに3.5ユーロの洗濯サービスがあります。
締め切り時間が迫っていたので慌てて寝袋から飛び出して、今日の濡れた衣類をまとめて洗濯ルームへ。
スタッフに託します。
カミーノの旅は持ち物を最小限に抑えているので洗濯物を貯めることはできません。
このサービスがあって本当に助かった。
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夕食は、アルベルゲの受付で一緒に予約をしていた巡礼者用のペルグリーノディナー。
Sakiさんたち4人と、別棟のダイニングに移動します。
縦長のお部屋にぎっちりと配置された丸テーブル。
列をなした巡礼者が次々にスタッフに案内されては席に着き、私たちも後をついて4人揃って同じテーブルに座りました。
今夜のメニューはパンにスープ、トマトペンネ、お肉のメインディッシュ。
そして赤ワインはなんと飲み放題です!
改めてそれぞれの自己紹介や、今日1日の大変だったカミーノを振り返り、ワイン片手に会話もはずみます。
sakiさんは四国のお遍路さん経験者。
次はカミーノを!と心に決めていたそう。
歩き切った暁には帰国して、故郷石巻市でマッサージ師として独立開業するという、また新たな道が待っています。
安松さんと間所さんはクリスチャン仲間で二人は教会でいつも顔を合わせる友人同士。
お料理上手でワイン大好きな一つ年上の安松さんが、手作り料理を振る舞うために間所さんをご自宅にお招きしたりもするんですって!
言葉通り「巡礼者」として二人でカミーノを歩くそうです。
みんな、目指すはサンティアゴ・デ・コンポステーラ。
旅のはじまりと出会いに、また改めてワイングラスで乾杯です!
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食事が終わる頃、教会ではミサが始まる時間。
私一人だったらきっと早々とベッドに戻って休むところでしたが、
安松さん間所さんに付いてミサに参加してみる事に!
正面のステンドグラスが幻想的な荘厳な教会の中。
見よう見まねで立ったり座ったり、歌まねをしたり、神父様のお言葉に耳を傾けたり。
これから始まる果てしないカミーノの、ロンセスバージェスに集う全ての巡礼者たちに無事の祈りを捧げているようでした。
私も心の中で、
どうかどうか、何事もなく、無事に元気に、
800kmの道のりを歩き切れますように。
とお祈りを。
すると、何やら不思議と自信がむくむく湧いてきて!
きっと大丈夫。私は歩ける。
神聖なミサが執り行われる間、ヤコブ様に背中を押してもらったような気分!
だって、この大雨極寒の中、初日のピレネー山脈(の端っこ?)を歩き切ったのだから。
今日がおそらく最初にして最大の難関、なはず!(であることを切に祈る)
不本意ながらも!?知らず知らずのうちにバルカロスルートに導かれ、
道中で同じ故郷の旅人たちに出会い、
こうして、今はミサに導かれて。
全ては必然で、全ての出来事に意味があるから。
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とりあえずなんとか無事に、記念すべきカミーノ一日目を終えることができました!
さあ、残り770km!?(くらい?)
まだまだ、挑戦の旅は始まったばかりです。
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■カミーノ1日目 2017/5/18 (木)
SJPP – RONCESVALLES <25.1km>
アルベルゲ/Colegiata 10ユーロ Wifi激弱orほぼなし
洗濯サービス3.5ユーロ
ディナー12ユーロ
<検索キーワード>
Ronesvalles,SJPP,ロンセスバーリェス,アルベルゲ,ピレネー山脈,フランス人の道,出会い,ブエンカミーノ,教会のミサ,スペイン巡礼,世界一周
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