【カミーノ16】出会いと別れ
<カミーノ17日目>
Christinaと私だけのツインルームで、
イビキに邪魔されることもなく、ほろ酔いも手伝い穏やかな安眠を得られた昨夜。
★
★
早起きが苦手な私よりもさらに遅くまで熟睡しているChristinaの横で、
なるべく音を立てないように支度を整え、
彼女が目を覚ますと同時にBuen Caminoの挨拶を交わし、アルベルゲを出発しました。
takashiさんはおそらく私より先にここを経ったみたい。
歩く時は連れ立たずにそれぞれのペースで。
次の約束はなくても、きっとまた道中で再会するはずだから。
今にも雨が降りそうな曇天。
まばゆい朝日も今日はすっかり身を潜めています。
暑さに参った一昨日の夏日の32度から一転、グッと冷え込む今日の気温は12度。
寒暖の差で風邪を引かないようにしないと。
豪雨とまではいかないけれど、
降ったり止んだりの安定しないお天気。
それでも。
★
★
★
★
曇りは曇りなりの、
雨は雨なりの美しさがあって、
霧雨けぶる幻想的な景色と水分を含みしっとりとした植物の色は、
西洋の美術館に飾られた一枚の絵画のよう。
★
★
Azofraを出てからゆるやかに続く丘を上り切ると、Cirueña という街に突き当たります。
街の入り口には立派なゴルフ場があって、
併設されたカフェでブランチを取ろうと中へ。
これまで訪れたバルとは雰囲気の異なる洗練されたカフェ。
スタッフはこのオシャレな空間に似つかわしい美男美女揃いで軽食も充実しているのですが、
広い店内にお客は私一人。
安物のポンチョを纏い、雨でドロドロになっていた私はなんだか場違いな気がして落ち着かず、
サンドイッチとドーナツを水で流し込み、そそくさとゴルフ場を後にしました。
★
★
ゴルフ場同様Cirueñaの街も、カミーノらしからぬ一種異様な空気に包まれています。
というのも、雨がひどく写真を撮り損ねたのですが、この街には無機質なコンクリートの建物が等間隔に並んでいて、
それはよく見るとモダンで今風なデザインなのだけど、全く人の気配が感じられずほとんどが空き家状態。
この悪天候と相まっておどろおどろしさすら感じるほどなのです。
あとで知ったのですが、ここはリゾート開発でできたニュータウンらしい。
ところが不況で買い手が付かず、真新しい建物だけが無人のまま取り残されているそうです。
近未来風ゴーストタウンを通り過ぎると、
★
★
ホッとする、自然豊かな風景。
★
★
雨露に濡れたお花たちが可愛らしくて癒されます。
お!珍しくワンコ連れの巡礼者。
その先には、
どこまでも開けた大地を突っ切る一本道!
★
★
★
★
金色と淡いグリーンの絨毯。
シャンと背を伸ばした若麦。
ポツポツと色を差す真っ赤なポピー。
あまりの美しさに立ち止まってしまいました。
本当に、本当に美しくて!
★
★
現在、800kmのうちの約1/5。
まだあと30日ぐらいはこんな日々が続くなんて、なんと贅沢!
半ばひらめきで決めたこの挑戦。
最初の一歩を踏み出すまでは不安の方が大きかった。
3日目にして膝を壊した時は絶望の淵に立たされた。
それが、
今は、この道を歩いていることに、
素晴らしい出会いと出来事の数々を体感していることに、
喜びと幸福感が溢れ出て仕方ないのです。
まさかこんな気持ちになれる日がくるとは、歩き出す前には思いもしないことでした。
しんどくて、ただただ苦しい道のりなのだろうと想像していたから。
たとえ、この先にまた困難が待っていたとしても。
どれだけ時間がかかっても、
サンティアゴ・デ・コンポステーラへ続くこの道を、
矢印が指し示すそのずっと先まで、
前を向いて歩いていこう。
この一本道は私に、
いろんな感情、インスピレーション、気付きを与えてくれるから。
★
★
★
★
印象的な麦畑の丘の先にうっすらと姿を現したのは、
サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサーダ。
巡礼者のための橋や救護施設の建設に生涯を捧げたという、聖ドミンゴさんによって開かれた、
コンポステーラ巡礼に深い繋がりのある街です。
★
★
趣のある狭い路地にはいつも旅心をくすぐられます。
街の中心の広場では何かイベントが行われていたようで、テントやステージが設営され、たいそう賑わっておりました。
繊細な細工が美しい尖塔のそびえる煉瓦造りのカテドラル。
聖ドミンゴの遺骸が眠る教会の祭壇には、この街の伝説にまつわる二匹の鶏が飼われているそうで、
中を見学したりゆっくり街を散策したかったのですが、
ここへきてだいぶ雨足が強くなってきてしまいました。
建物の影でしばらく雨宿りをしていたのですが、一向にやむ気配はなく埒が明かないので、
意を決して土砂降りの中へ飛び出し、
★
★
★
★
ワープ!
(雨降りはカメラが出せないので、例によって写真なし!)
サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサーダから約7km。
Grañónという村まで、雨の中をいっきに歩いてきました。
ここを今日のゴールにして、アルベルゲにチェックイン。
この宿は女性専用と男性専用に分かれていて、4つベッドのお部屋の同室は先着のスペイン人。
彼女はパンプローナ出身のMarisol。
旦那様はイタリア人の美容整形外科医で、現在はミラノに住んでいるそうです。
きっとお金持ちの奥様なのだろうけど、飾らず自然体で可愛らしい、小柄な女性でした。
子育てもひと段落して単身カミーノを歩きにやってきたMarisol。
曰く、スペイン人の男はuglyで嫌!イタリア人の男性が好きなの♪
ということでした!
この後にチェックインする人は誰もおらず、今夜はドミトリーでMarisolと二人。
昨日に引き続き、イビキに悩まされず穏やかに眠れそうで一安心です。
★
★
それにしても、一昨日とは一転して雨に濡れ、寒さが身に染みた一日でした。
シャワーで体を温め、衣類を洗い室内に干すと、
食べ物を求めて宿の外へ。
★
★
さっき通過した街の賑わいとは対照的な、静まり返った広場の脇の建物の二階に、
ちょっぴり穴場的なローカルパブを見つけたのでここで食事を取ることにしました。
今日は冷えたビールって気分じゃないのでロゼワインをチョイス。
たまには野菜もたっぷり摂らないとね!
メインのお肉には大好きなレモンが乗っていてささやかに嬉しい♪
さすが庶民派パプ。
地元のおっちゃんたちがワラワラと集まり出し、気づいたら店内は満席に近い状態に!
一仕事を終えて一杯やりにきたのでしょうか。
カミーノに点在する娯楽の少ない田舎村では、
こうして昔馴染みの仲間と通い慣れたパプに集まって談笑するのが男たちの一日の楽しみなのかも。
★
★
★
食事を済ませ、メイン通りの売店に寄り道をしたら、
イートインコーナーでビール片手にピザをつついているtakashiさんに遭遇!
言い合せたわけではないのだけど、今日も同じ目的地だったのでした。
お隣に座り、私もビールを注文して二夜連続の乾杯!
takashiさんは今日は教会に併設された寄付制のアルベルゲにチェックインしたそう。
私も一度はそういうところに泊まってみたいのだけど、快適性を重視してついつい私営の宿を選んでしまうのでした。
★
★
★
思えば、
SJPPをともに出発したsakiちゃんや安松さん、間所さん、マルタ島の陽気な二人組など、
(たまにsakiちゃんからMarkとHoraceの近況報告あり。彼らはペースが同じみたいで宿でよく会うんだって!)
同じ日にカミーノをスタートした仲間たちには道中でもう会うことはできないけれど、
後からやってきた旅人たちに出会い、再会して、またそれぞれのペースで歩き、離れていく。
出会いと別れの連続。
その繰り返しこそがカミーノであり、
旅で、
人生でもあるのでしょう。
サラッとして心地いい。
リスペクトとほどよい距離感。
こんな一期一会が私は大好きです。
★
★
■カミーノ17日目
2017/6/3 (土)
Azofra – Grañón <21.9km>
アルベルゲ / Ave de Paso ドミ10ユーロ Wifi ◎
<検索キーワード>
カミーノブログ,スペイン巡礼,サンティアゴ巡礼,グラニョン,アゾフラ,アルベルゲ,雨の中,麦畑の一本道,スペイン,世界一周
結構マメに更新してます!リアルタイムはInstagramでチェック!Follow Me♪
Instagram @uca0319要チェック!
▼世界一周バナーポチッで、ランキングUP応援よろしくお願いしますm(_ _)m▼
にほんブログ村 世界一周ランキングに参加しています。
1日1回のCLICKが順位に反映される仕組みです。
応援よろしくお願いします!
クリックしてから表示が切り替わって、はじめてワンカウントとなるそうです!
ちょっぴり時間がかかるFBのイイネ気分で、クリックしていただけると嬉しいです♪