【カミーノ24】星の道と神アルベルゲ
<カミーノ24日目>
目覚めの良い朝。
takashiさん、そして大学生二人は既に宿を出発していて、
私はいつものようにのんびり支度をし、ドミ部屋を出て、レセプションの脇にバックパックを下ろします。
★
★
実は、
この旅で初めて、
私も禁断の果実に手を付けてしまったのです・・・!
5ユーロの、カミーノ荷物転送サービス!!!
以前にも説明しましたが、
前の日に受付で予約をし、
目的地を書いた紙をバックパックにくくりつけて、翌朝出発前に宿に預けると、
荷物をピックアップしてまわる車が先回りして次のアルベルゲへ届けてくれるというもの。
荷物サービスを利用することに決めたのには、ちゃんと理由があるのです。
なぜなら、今日目指す目的地はCastrojerizから約30kmも先!
情報屋kimちゃんからOrionに引き続きオススメアルベルゲの存在を聞いて、どうしてもそこに泊まってみたくて。
過去最長距離を歩くのにちょっぴりビビっていた私。
少しでも体の負担を減らそうと葛藤の末に考え抜いた、苦渋の決断でした。
ゴールまで荷物を運び切るのも巡礼の大切な仕事。
そうは分かっていながらも、ストイックになりきれなかった情けない自分。
またまた文明の利器にお世話になっちゃいます!
10kgのバックパックを手放した背中はまるで羽根が生えたようで、嘘みたいに体が軽い!
なんならスキップしそうな勢いで、宿を飛び出しCastrojerizの村を駆け抜けます。
昨夜、同じくOrionに泊まっていたドイツ人シンガーのChristinaの背中が見えて、
「おはよう!」と声をかけました。
「uca! Good morning!」
Azofraで出会ったChristinaとはペースが同じで、道中や宿でよく出会い、
いつも私を見るとYou are so sweet!と言ってくれてすっかり仲良し。
昔、公演の仕事で3度も来日し、歌いに来たことのある彼女は日本が大好きで、
小澤征爾とも共演したことがあるそう!
実は、ものすごい歌手!?
なのだろうけど、飾り気なくチャーミングなChristinaは朗らかなオーラで、会うといつも元気をもらえます。
★
★
しばらく二人でお喋りしながら歩いていると、
ものすごい勢いで向こうから駆けてくる人影が。
なんと、setuso君でした!
「どうしたの!?」
「スマホを宿に忘れたー!!!」
Orionを出て2kmほど歩いたところで気付き、tomoki君を先に行かせて一人引き返してきたと言うのです。
ありゃー、往復4kmロスは大変!
でも、早めに気付いて良かったね!
「気を付けてねー!また後でね!」
setsuo君の背中を見送り、
Castrojerizの村を抜けたところでChristinaといったん別れ、ここからはそれぞれのペースで前へ。
はるか前方を遮るのはモストラレスの丘。
ちょっとした峠越えが待ち受けているのだけど、荷物がないからきっと楽勝!
★
★
朝日に照らされて長く伸びる影。
フランス人の道は、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して西の方向へ歩いていくので、
午前中は、基本的に太陽がずっと背後にいる状態です。
これがもし逆で、毎日太陽に向かって歩き続けるのだとしたら、
暑さと、全面から受ける直射日光に体力を奪われて疲れが倍違うはずです。
この橋を渡ると、峠道の入り口はもう目の前。
緩やかな上り坂に差しかかろうとしています。
午後はまた暑くなるだろうな。
早朝は、この澄んだ青空が最高に気持ちいいのですが。
坂道が始まり徐々に高度を上げると、
少しずつ広がるパノラマの景色と心地よい風が、疲れを吹き飛ばしてくれます。
今日も、大好きな風車が遠くにくるくる。
★
★
最高!
坂道を登り切ると、丘のてっぺんはしばらく平坦な道が続きます。
ここを超えると今度は下り坂が待っているのですが、
★
★
思わず立ち止まり、息を飲みました。
黄金色の大地を切り裂く一筋の白い道。
この光景に、心が打ち震えるほどの感動を覚えたのです。
鳥の視点で、俯瞰で見るカミーノ。
それは、1000年もの長い時間、
星の数ほどの巡礼者を来る日も来る日も聖地へ運び続けた、巡礼路の姿。
この道を辿れば必ずゴールへ導かれる。
あの地平線の先に、サンティアゴ・デ・コンポステーラが待っているんだ。
SJPPを出発して早24日目。
まだまだやっと半分に到達したくらいです。
一日の目標距離を決め、日々を少しずつ重ねてきた今日までの道のり。
その中で初めて、この旅の最後を意識し、
改めてゴールへの執着を強めた瞬間でもありました。
800kmを、歩き切る!
★
★
決意を新たに下った峠道。
★
★
★
★
上から見下ろした一本道も、
実際に自分の足で立つと見える景色が違います。
★
★
果てしなく見えた黄金色の道にもいつしか終わりは来て、
★
★
★
★
川を超えると、
★
★
★
★
緑が増えてきました。
★
★
★
★
★
★
これは時折現れる、恐竜の骨みたいな水撒き機。
★
★
中継地点の村でバル休憩を取り、
順路通りに砂利道に入ると、
★
★
ドドドドド!!!
あっという間にヤギの大群に囲まれてしまいました!
群れを統率するのは賢いロバ君!
熱い中お勤めご苦労さまです。
木陰が気持ちいい並木道を経て、
やがて突き当たるのはカスティージャ運河。
丘あり、水あり、平野あり!
くるくると表情を変える道は全く飽きさせず、景色を楽しみながら歩いているとすぐに時間が過ぎてしまいます。
背中を圧迫する荷物がないから、今日は余計にね!
運河の終わりに辿り着くのはフロミスタの街。
ゴール!と言いたいところですがまだ通過地点。
今日はいつになく長丁場なので、ここでもう一度バル休憩を挟みます。
フロミスタを抜けて、国道沿いをさらに進むと、
★
★
過去最長。
初の30km、難なく完歩!
本日の目的地、POBLACION de CAMPOSのアルベルゲ、La Fincaに到着です!
恐れていた30kmだったけど全然余裕だった!
背中に10kgのおもりがないだけで、こんなにも疲労が違うなんて。
体力は残っているし、まだまだ歩けそうだもの。
★
★
宿の建物に入ると、預けていたバックパックが先回りをして受付の隅にちゃんと置かれていました。
初めての別行動、再会がちょっぴり嬉しい。
5ユーロの荷物サービス優秀でした。
★
★
さて。
kimちゃんが超絶オススメしてくれたアルベルゲ、La Finca。
ちょっくらお手並み拝見と行きますか!
受付と食堂の入った建物とは別の、宿泊棟の方へ案内されると、
建物へ入ったすぐ右手には、くつろげそうな細長のラウンジスペース。
素通りして奥へ進むと、
ゆったりと配置された独立したベッド。
ほぼ個室だよーと聞いていた、その噂は本当でした!
二段ベッドがぎゅうぎゅうにひしめき合うドミトリーじゃない。
これなら完全プライベート空間を確保できるし、イビキマシーンにも邪魔されず、今夜の安眠は約束されたようなもの!
大げさじゃなく、それだけで喜びが込み上げます。
さらに独立感が増すロフトの上階をチョイスしました。
これで1泊10ユーロは文句の付けようがありません。
コスパ最高!
しかもしかも自動洗濯機はフリー!
実は、これが一番ありがたい。
wifiが宿泊棟まで届かず、受付とレストランのある建物でしか使用できないのが唯一の難点ですが、
真新しく快適で、なおかつお手頃プライスのアルベルゲ。
そんなの全く問題なし!
ほとんどの旅人が手前のフロミスタに泊まり、大半が通り過ぎるであろうPOBLACION de CAMPOSの集落。
ここに宿泊する巡礼者も私以外に2、3人と少なくてとても静か。
そんなところも高ポイントです。
kimちゃん、確かにここは神アルベだね!!!
★
★
シャワーを済ませると、
ここまでせっせと手洗いしてきた衣類たちの、今身に付けている以外全部を洗濯機に放り込み、ボタンをポチッ。
手洗いの労力って何気に大きくて、洗ってゆすいで絞って干す、その一連の動作は、
巡礼の一日の最後の大仕事と言っても過言ではありません。
放っておいたらいつの間にか洗い終わっている、働き者の自動洗濯機に感謝しつつ、
洗濯物を取り出して、広いスペースにたっぷりと用意された外の紐に吊るして、
ついでに寝袋も広げてぶら下げて天日干し。
今日は日差しも強く絶好の洗濯日和で、すぐに乾いてしまいました。
★
★
今日一日のやるべきことを全て終え、開放感に浸りながらベッドでくつろいでいると、
「ucaさーん」
??
下から私を呼ぶ声。
ロフトのハシゴから覗き込むと、
setsuo君とtomoki君だ!
昨夜韓国宿Orionで一緒だった二人。
荷物サービスを使い二日ほど距離を抑えたおかげで、ハムストリングだかの足の痛みもだいぶ軽くなったsetsuo君。
彼らは今日はさらに先を目指すそうで、
私にお別れを言うためにこのアルベルゲを訪ねてくれたのです!
「顔を見せに来てくれたんだー!ありがとう!」
あまりの良宿にすっかり心を奪われている二人を見て、
「もう、今日はここに泊まっちゃえば!?」
と悪魔?の囁き。
迷いに迷った末に誘惑を振り切ったsetsuo君は予定通り次の街を目指すことに、
ランドリーマシーンの強烈な誘惑に負けたtomoki君はここで一泊することとなりました。
★
★
setsuo君を見送るために外へ出ると、
1台の車がブーンと敷地内へ滑り込んできました。
「かっこいい!」
クールなオープンカーにテンションが上がる3人!
止まった車に駆け寄ります。
このイケてるおじさまがオーナー。
話を聞いてみると、彼はスペインのロイヤルの親戚だか、なんとか、と言っていたような!?
スペインの国章(王の紋章)が刺繍されたキャップを見せてくれました。
この方、ほんとにすごい人なのかも!?
今からこのアルベルゲのバーで、友人たちと合流するためにやって来たそうな。
王族関係者?の気さくで素敵なおじさまでした。
★
★
先を歩いているshinpei君と少しでも距離を詰めようと、遅れを取り戻すべく旅立って行ったsetsuo君。
駆け足の彼らとのんびりペースの私が、この先距離を縮めることは難しいだろうけど、
またどこかで会えるといいな。
ちなみに、聡明で気のいいこの若者トリオ。
shinpei君とsetsuo君は同じ高校出身で、ともにカミーノの旅を始め、tomoki君は道中で出会ったんだって。
同世代の二人とすぐに意気投合し、それからはずっと一緒に歩いてきたのだそう。
あまりにも自然な三人組だっただから最初から共通の友人なのかと思っていました!
帰国後は3人で飲みに行ったり、熊野古道を歩く約束なんかをしていて、
お互いをものすごく尊敬し合っているし、
そんな彼らを見ていると、男の子の友情も爽やかでなんかいいな〜!と思っちゃったお姉さん←ここ強調!なのでした!
★
★
★
★
夕刻になり、
予約していたお待ちかねのディナータイム。
お腹ぺこぺこでレストランに入りテーブルに着くと、
まず最初に共されたのは新鮮なグリーンサラダ。
(ワインはもちろん)
それから、茹でたお豆とスモークハム。
メインのお肉はしっかりした味付けで、
どれも本当に美味しくて、ボリューミーで大満足!
ワインをいただくホタテの陶器も可愛い。
やっぱりこの宿、神アルベルゲに認定!
歩き旅の疲れを心も体も胃袋も癒してくれるLa Finca。
kimちゃん同様激しくオススメです♪
フランス人の道を歩かれる方、是非行程に組み込んでみてくださいね!
★
★
■カミーノ24日目
2017/6/10 (土)
Castrojeriz – POBLACION de CAMPOS <29.8km>
アルベルゲ / La Finca シングル10ユーロ Wifi 受付レストラン棟◎ 宿泊棟×
<検索キーワード>
カミーノブログ,サンティアゴ巡礼,カストロヘリス,荷物サービスとは,コスパ抜群のアルベルゲ,最高のアルベルゲ,神宿,洗濯機,ラ・フィンカ,スペイン,世界一周
結構マメに更新してます!リアルタイムはInstagramでチェック!Follow Me♪
Instagram @uca0319要チェック!
▼世界一周バナーポチッで、ランキングUP応援よろしくお願いしますm(_ _)m▼
にほんブログ村 世界一周ランキングに参加しています。
1日1回のCLICKが順位に反映される仕組みです。
応援よろしくお願いします!
クリックしてから表示が切り替わって、はじめてワンカウントとなるそうです!
ちょっぴり時間がかかるFBのイイネ気分で、クリックしていただけると嬉しいです♪