【カミーノ37】サンティアゴへ辿り着けなかった。涙のリタイア
<カミーノ38日目>
ポルトガルの北部に隣接し、スペインの最北西に位置するガリシア州は、
年間を通して降雨量が多く、湿度の高い地域です。
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早朝アルベルゲを出ると、外は珍しく真っ白な霧に包まれていました。
気温もグッと下がり、今にも一雨降りそうな気配です。
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スペインをイメージする、カラッと晴れた陽気な気候とは正反対。
湿度を帯びた濃い緑が、鬱蒼と道を覆っています。
焼けて砂漠化したお肌にこのミストはありがたい!
朝霧立ち込める森の中。
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「お主、東の果てのものか」
とかって今にも喋り出しそうな!?
見るからにご神木といった貫禄ある大樹が道の脇に鎮座していました。
樹齢何百年?何千年?
果てしない時の年輪を刻んできたであろう太い幹に手書きで黄色の矢印を描いちゃう、
そのラフな感じがスペインっぽくてクスリとしてしまいます。
手のひらをくっ付けて、木のパワーをいただいておきました。
さあ、どっち。
こっち!
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実は、
今日は出だしから失敗をしてしまいました。
今朝ペットボトルに水を補充し忘れて、最初に通過した街でも水を買い忘れ、
その次の集落にはバルはおろか売店すらも見当たらず、
今、深刻な水不足に陥っているのです。
カミーノMAPを見てみると、これから先は山道が控えているようで、
その次の集落まではおよそ8km。
ザッと2時間コース、水分なしの山歩きは辛いなぁ。
すでに喉はカラカラだし。
困ったな。
諦めて、
腹をくくって山道に突入したところで、
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水だ!!!
このタイミングでホタテ貝の給水所なんてどんな奇跡よ!?
たった今、ここを「ヤコブの泉」と名付けました。
ペットボトルにありがたくちょうだいします。
心からの渇望が、きっとこの給水所を引き寄せたのね♪
渇き切った喉をめいっぱい潤して、ホクホク顔で山道を歩き始めました。
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森の精がひょっこり顔を出しそうな、幻想的な樹海の道。
今日は素敵な木にたくさん出会って、
木の写真ばかりを撮ってしまいました。
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山道を出たところにちょうど現れたバルでひとやすみ。
小さな店内はお客さんで溢れかえっていたので、
外のテーブルに座り、凍えそうになりながらホットチョコレートとエンパナーダをいただきました。
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森を抜けると、
街へ伸びる国道沿いの道がしばらく続きます。
霧も雲も晴れ、柔らかい日差しに包まれて歩くのに気持ちの良い午後。
ついに、ここまでやって来たか。
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今日の目的地、SARRIA。
SJPP、もしくはその前のフランスから歩き始め、
長い長い道のりを経てここに辿り着いた旅人たちにとって、
サリアは、さらにゴールを強く意識させる特別な街でもあります。
なぜならば、サリアはコンポステーラからちょうど100km手前の街。
毎日20kmずつ歩いたとしても、あと5日間でゴールへ到達してしまうから!
さらに、この街が分岐を感じさせるもう一つの理由。
サンティアゴで巡礼証明書をもらうための条件が、
徒歩か騎馬であれば100km、自転車であれば200kmを完遂すること。
つまり、ここサリアからカミーノウォークをスタートすれば最短で達成できるわけで、
限られた時間で巡礼をするために、世界中から多くの人々がこの街に集まるのです。
サリアからサンティアゴまでの道のりは大混雑になることも多く、
今までの静かなカミーノとは様子が一変するらしい!
人ごみのカミーノかぁ。
明日から、ちょっぴり恐ろしい・・・!
宿に行く前に街の教会に寄って、
残り100kmの無事をお祈り。
教会を出ると、
向こうから、何やら賑やかな音が聞こえてきました。
やってきたのは神父様率いる大名行列!
イエス様のお神輿の後をゾロゾロと群衆が練り歩き、
イケメンブラスバンド軍団が続きます。
冠婚葬祭?
何かのパレードかな?
一行が過ぎ去るのを見送って、
予約していた宿まで移動。
予約?
そう。
Apartamentos Turísticos La Casona de Sarria
今夜は素敵な脱アルベルゲ♪
原因不明の体中の痒みで最近寝不足続きですから。
ここ3日間はまともに寝られた日がないくらい。
チェックインしてお部屋に入るなりベッドに倒れこみ、
痒さより疲れが完全に勝って、
コトンと意識を失ってしまいました。
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夕方目を覚ましてスーパーへ買い出しに。
ところが街の様子がおかしい。
日曜日でもないのに軒並みシャッターが閉じているではありませんか!
スーパーも案の定クローズで、困ったな。
通りすがりの人に尋ねてみると、今日は祝日なんだって!
さっきの大名行列は、そのお祭りか、何かのパレードだったのかもしれないな。
スーパーは諦めて、
カフェやレストランが並ぶ通りへ移動。
ポツポツと開いているお店のひとつに入って、
腹ペコディナータイム!
連日の野菜不足を解消します。
メインはやたら出現頻度の高いパスタ。
炭水化物でお腹を満たす作戦です。
相変わらず痒みがひどいので、今日はアルコールは自粛。
うぅ、悲しい。
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その日の夜。
ある女性とLINEでやり取りをしていました。
記念すべきカミーノ初日に出会ったsakiちゃん。
SJPPを出発した嵐の中、
道の途中で見かけたスラリと美しい彼女に話しかけたのが、私たちの出会いのはじまりでした。
その日は安松さんと間所さん、sakiちゃんと私の日本人女性4人が同じアルベルゲで夕食をともにし、
お互いの健闘をたたえ合いました。
翌日は、一部の区間をsakiちゃんと一緒に歩いたりもしたのだけど、
カミーノ3日目のパンプローナ直前で私が膝を壊してしまい、
それから数日はまともに歩くこともできなくなって、sakiちゃんとは絶対に埋まらないほどの大きな距離が開いてしまったのです。
膝を痛めてパンプローナで停滞していた5日間は、
プロのマッサージ師でもあるsakiちゃんが、
毎日毎日膝に関する回復の知恵やアドバイスをLINEして、私を励まし続けてくれて、
ずっと先を歩いている彼女が、わざわざパンプローナまで引き返して私の様子を見に来ようともしてくれて!
天使のような、女神のようなsakiちゃんが根気よく元気付けてくれたおかげで、
私は初期の膝のピンチを乗り越えられたようなものなのです。
いわば、sakiちゃんはカミーノの恩人!
彼女は自身の体のケアにも随分と気を使い、かなりいいペースで歩いていたから、
そろそろサンティアゴにゴールしたか、もしくはもう随分と前に歩き終えてパリへ戻っているかもしれない。
(日本からパリの往復のフライトでカミーノに来ていたから。)
そう思って、
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久しぶりー!元気?
私は今日、ようやくサリアに着きました。
膝を痛めた時はこの先長いのにどうなることかと不安だったけれど、
私もなんとか歩き切れそうです。
さきちゃんはもうカミーノは終わった?パリを観光して、そろそろ日本へ帰る頃かな?
帰国したら開業の準備で忙しくなるだろうけど、新たなる人生にBuen Caminoだね!
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と、
お昼時にsakiちゃんにLINEを入れていたのです。
その返信がたった今返ってきたところ。
ワクワクして彼女からのLINEを開くと、
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ucaさん、サリアなんですね!すごいです!
その後、膝の調子は大丈夫ですか?
実を言うと、私はサリアからパリに戻り、帰国したところです。
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え・・・。
サリアから、パリに?
いつも可愛い絵文字と丁寧な言葉で長文をくれるsakiちゃんのLINEのテキストを、
何度も何度も読み返しました。
彼女はサンティアゴ・デ・コンポステーラへ辿り着くことができずに、
サリアでリタイアしていたのです。
手持ちの大きな現金をなくしてしまうという大事件が勃発し、
旅を続けることができなくなってしまったsakiちゃんは、
急遽サリアからパリへ移動し、
中国に住む弟に遠隔で助けてもらいながら、
日本へのフライトの日まで、パリに住んでいる中国人にお世話になって、彼らに部屋を借りて過ごしていたんだ、と。
sakiちゃんのLINEはこう続きます。
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帰国日まで色々と助けてもらいました。
「あなたは遠慮しすぎよ!気にしないで!」って言ってくれて。
みんな親切で気風が良くて!
中国のこと、メディアでは色々と言われているけど私は不思議で仕方ないです。
ucaさん、私は最初かなり悲観していましたが、カミーノを含めこの旅は本当にとてつもない経験でした。
本当に、たくさんの人に助けられました。
私はコンポステーラまで行くことができなかったけれど、またスペインに行くきっかけができました!
人生にBuen Camino!
本当に、そうですね!
私の旅は続きます。
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読みながら、みるみる溢れる涙。
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お互い違うカミーノストーリーかもしれませんが、同じ道を歩きました。
ucaさんに出会えて良かった!
ありがとう!
Buen Camino!
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いろんな感情が溢れ出して止まらない。
あんなに親身になって支えてくれたsakiちゃんを、私はどうして助けてあげられなかったの。
sakiちゃんからは言い出しにくかったよね。
慣れない外国で大金を失い、きっとパニックに陥ったよね。
一人でピンチに立ち向かうのはとても不安で心細く、
カミーノを全うできない現実に絶望を感じたかもしれない。
ずっと気になっていたのに、
どうしてもっと早くsakiちゃんにLINEを送らなかったんだろう!
体のプロであるsakiちゃんは、膝のこと、症状のこと、ケアのこと、たくさんたくさん教えてくれた。
いつもいつも優しく励ましてくれた。
旅に関しては私が少し先輩で、今まで旅のピンチをいくつもかいくぐってきたのだから、
何かお金の解決策を提案できたかもしれないし、
力になることだってできたかもしれない。
何より、sakiちゃんを励ましてあげたかった。
悔しくて、自分が不甲斐なくて泣けてくる。
困難を乗り越えて、
今はもう清々しく前を向いている彼女の美しさと、
そんな状態でも私の体を気遣いエールをくれるsakiちゃんの底なしの優しさに、
色んな思いがぐちゃまぜになって、
涙が止まりません。
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sakiちゃん、ほんとだね。
sakiちゃんが前に言ってたね。
カミーノは、歩く人の数だけドラマがあるって。
私とsakiちゃんはカミーノでそれぞれ違う物語を紡いできたけれど、
同じ道を歩き、同じ景色を見てきた。
コンポステーラというゴールを目指して毎日ひたすら歩いているけれど、
そこはひとつの点にすぎなくて、
ここまで歩いてきた道が、山あり谷ありの道のりが、
全ての経験が、
出会いが、
人々の優しさが、
それこそがカミーノだね。
今は帰国して、
マッサージ師として独立し、
故郷で新しい出発を始めるsakiちゃんのこれからの人生に、
心から、この言葉を送るよ。
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Buen Camino!
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■カミーノ38日目
2017/6/24 (土)
FILLOVAL – SARRIA <22km>
ホステル / Apartamentos Turísticos La Casona de Sarria 個室20ユーロ Wifi ◎
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