【カミーノ5】いるはずのない人
<カミーノ4日目>
パンプローナを目前にして膝に激痛が走り、
道半ばにして、5km手前の小さな街Trinidad de Arreのアルベルゲに泊まることにした3日目。
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尋常じゃない痛みに予感はしていたけれど、やはり1日経っても症状は変わることなく、
相変わらずまともに歩くことすらできません。
結局、宿のおじいさんのご厚意に甘え延泊させてもらうことに。
おじいさんは今日も心配そうな顔で、新しい保冷剤をベッドのところまで持ってきてくれました。
LINEを交換していたsakiちゃんに事の顛末を連絡すると、
道中で何人かの巡礼者から「uca?」と名前を尋ねられたこと、
皆が気にかけ心配していたことを教えてくれました。
もちろんsakiちゃんは昨日パンプローナに着いて、今日はその先を目指して歩いています。
一日20km前後歩く毎日。
一度開いたブランクは、よほどの事がない限りもう埋まる事もないでしょう。
sakiちゃんとは、カミーノではもう会えないんだろうな。
安松さんも。間所さんも。
同じ日にSJPPを出発した運命共同体の日本人ガールズ4人。
ちょっぴり切なく寂しい気持ちになりながらも、お腹が空いた私は痛む足を引きずって街へ繰り出すことに。
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ところが。
盲点だった!
今日は日曜日!
ヨーロッパの日曜日は日本とは正反対、ショップもバルもスーパーまでも!ほとんどのお店が軒並み閉まっています。
この小さな街はより一層静まり返り閑散として、まさにゴーストタウン状態!
しまった、昨日スーパーで食材を買い溜めしておくだんだった。
でも、昨日の時点では延泊するかどうか定かじゃなかったしなぁ。
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肩を落としながら、それでも希望を捨てずに足を引きずりながら街を徘徊していると、
奇跡的にOPENしているバルを発見!
迷わず直行です。
お店のに中は、地元民らしきおじさまズがポツポツとたむろしていました。
カウンターのガラスケースを覗くと美味しそうなタパスが並んでいます。
一通り物色してからお目当てを指差し、白ワインも一緒に頼みます。
角っこの席に座り、ワイングラス片手にマッシュルームをつつく日曜日の午後のひと時。
ん〜悪くない♪
絶望的なこの状況に落ち込むばかりだった心が少しだけ晴れて、
調子に乗ってワインもタパスもおかわり。
グラスを3杯空けた頃には程よくほろ酔い気分です。
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ホワーンとする意識の中でふと思い出したのは、100歳で天命を全うした私のおじいちゃん。
物心ついてからの彼の記憶は、杖をつき、びっこを引いてのっそのっそと歩く姿。
仕事で上の立場になってからは送迎の車で通勤するようになったそうで、
もともとの運動嫌いもあってほとんど歩かなくなってしまい、使わない足は弱るばかり。
それでも、
定年退職してからは悪い足をものともせずにおばあちゃんと世界中を旅行していた、そんなおじいちゃんでした。
生きていた頃のおじいちゃんと今の自分の歩く姿が重なって、
彼の見えていた景色も今ならほんの少しだけ理解できるような気がします。
足が悪いって、
思うように歩けないってこんなにも不便だったなんて。
生まれて初めて膝を痛めた私は、
膝のあまりの大切さに今更ながら気付かされ。
手を痛めた時は指を。
ぎっくり腰になった時は腰を。
声帯を長年痛めていた時は声を。
普段は当たり前すぎて意識も向けないけれど、
失った時に初めて、その重要性を改めて思い知らされるのです。
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すっかり気持ちよくなったところでバルを出てアルベルゲに戻ると、
「日本人が2人来ているよ。」
と宿のおじいさん。
カミーノを歩く日本人、意外と多いんだな。
初日からこんなにも出会うなんて!
どんな人たちなんだろうと中庭へ向かうと、
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・・・・!!!!
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いるはずのない姿が目の前に。
「え!?どうして!?」
「やっぱり!
ベッドに干されている5本指ソックスを見て、ucaちゃんだと思った!」
例のこれです↑
実はブログで3度目の登場、靴下とキスケ from akiの写真。
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「安松さん!間所さん!
なんで!?どうしてここに!?」
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昨日ZUBIRIを出発し、途中のバル休憩で二人に会って、
その後彼らはパンプローナまで歩き、今日はとっくにもうその先へ行ってしまったものと・・・。
手を取り合いながら再会を喜び、2人の団欒に私も加わらせてもらいました。
よくよく話を聞いてみると、
昨日はパンプローナまで歩いたものの安松さんの足の調子が思わしくなく、
今日は一日歩きを休んでパンプローナに滞在するはずだったのが、
日本にいる時から知り合いだったというスペイン人の神父さんにパンプローナで偶然!出会って、
彼の車で教会を色々と案内してもらい、
知り合いのところだと言って最終的にここに連れて来られたそう!
(戻されてる〜!)
「そういう事だったんですね!
実は私もなんです。
昨日、バルまではなんともなかったんですけど、
あの後、歩いている途中に膝に激痛が走ってまともに歩けなくなってしまって。
パンプローナにも辿り着けずに昨日からここに泊まっています。
でもまさか、今日ここで安松さんと間所さんに会えることになるなんて思いもしなかった!!!」
ほとんどの旅人がスルーするであろうTrinidad de Arreで、
こんなにも嬉しい再会が用意されていたとは。
安松さんと間所さんは、
余裕を持たせているとは言え、あらかじめ帰国の飛行機を取っているので日程のリミットがあるのです。
私は私で、長旅の身だけれどもカミーノの後に友人と合流する約束が二つあるから、
それまでにはなんとしてでも歩き終えたい。
でも、膝が回復しない事にはとても歩き続けることはできず、今後のカミーノの予定も立ちません。
こんなにも歩くことが困難で、私の膝の中では一体何が起こっているのだろう。
例えば疲労骨折とか靭帯損傷とか!?実は大ごとになっているかもしれない!
もしそうならば最悪リタイヤを考えなればいけないし、
スケジュールを組み直して、
一旦カミーノを中断して旅を優先し、足がすっかり回復してからカミーノはまた秋頃に再チャレンジするとか?
膝が悪いままでは旅を継続させる事すらも厳しいけど。
そんな事をグルグル考え始めると、
また不安と絶望がムクムクと湧き出して、負の感情に支配されてしまいます。
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「私、明日病院に行こうと思います。
明日は月曜日だからきっと開いているだろうし、
ちゃんと診てもらって、今の膝の状況を把握したいから。」
「それがいいわね。
私は、この足は幼い頃からの持病だから数日休めば治るとは思うんだけど。
早く痛みが取れて欲しい。
帰国便もあるし、
間所さんにも迷惑かけちゃってるし。
気持ちばかりが焦っちゃうよね。」
そんな間所さんの表情は優しくて、
安松さんを心の底から心配しているのが手に取るように分かるし、
足を回復させるのが最優先だからゆっくり休みましょ!というスタンス。
なんとも頼もしいバディです。
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私の膝も、安松さんの足も、
どうか一日も早く治って・・・。
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ところで、
私が旅の間に病院に行く決心をするなんて、実はとても珍しいことなのです!
なんせ、前回の南米ではバス事故に巻き込まれて肋骨を骨折した時ですら病院に行かなかった私ですから。
今回は、なんとしてでもカミーノを歩き切りたい気持ちが強すぎて!
たった3日でリタイヤなんかしたくない。
膝痛の原因を解明し、できる事はなんでもするから。
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湧き上がる熱い思いが、私を病院へ向かわせます。
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■カミーノ4日目
2017/5/21 (日)
TRINIDAD DE ARRE
アルベルゲ/Cofradia ドミ8ユーロ Wifiなし
<検索キーワード>
スペイン巡礼,カミーノ・デ・コンポステーラ,膝を痛めた,激痛,足が痛くて歩けない,不安,絶望,病院,原因,スペイン,世界一周
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