【カミーノ6】病院
＜カミーノ5日目＞
Trinidad de Arreに連泊して、
チェックアウトの朝は、ここに延泊を決めた安松さんと間所さんにお別れの挨拶をします。
BUEN CAMINO
またどこかで会える日まで。
どうかご無事で、
お互いに、この道を最後まで歩き切れますように、と。
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ちょうど宿のおじいさんは外出中だったのでサヨナラは言えなかったのですが、
昨夜おじいさんに聞いていたパンプローナの病院へ向かうべく、宿を出てバス停まで歩きました。
相変わらず膝の痛みに回復の兆しはありません。
建物の隙間から覗く青空は、白い雲の筋を縦に横にと描いています。
空を見上げるとかなりの確率で目に入り、
スペインは飛行機雲の国？
と名付けたくなるほど飛行機雲だらけなのです。
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バス停に辿り付く少し手前の辺りで、お孫さんと手を繋いで歩くおじいさんの姿を見かけました。
「muchas gracias!!!」
そう叫んで彼らに手を振ります。
おじいさんはニッコリ微笑みを返してくれました。
保冷剤を貸してくれたり何かと気にかけてくれて、
結局2泊もしてしまったアルベルゲ。
簡素でwifiもない宿だったけれど、おじいさんの、寡黙ながらも温かい人柄に癒されました。
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彼らの後ろ姿が小さくなるまで見送ると、ちょうど路線バスがやってきました。
運転手さんに病院行きを確認して乗り込みます。
本当は5km先のパンプローナまで歩きたかったけれど、今は無理。
諦めて、おとなしく文明の利器に身を委ねることにしました。
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病院に着いたようです。
パンプローナは比較的大きな街で、病院も想像以上に大きくて立派。
ここでバスを降りようとしたらキャッシュでの支払いは受け付けてくれず、バスカードを提示しないといけない事が判明！
そうだったんだ。
でも持っていないし、どうしよう。
オロオロしていたら、美しいロングヘアの乗客の女性がサラリとカードを出して私の分を清算してくれました。
お金を渡そうとしたら遮られ。
もう、もう、本当に親切を受けてばかり！
みんな優しすぎます！
感動と感謝で胸がいっぱいになりながら、お礼を伝えてバスを降りて、
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救急外来の棟へ。
巡礼者の患者も多く来るのでしょう。
看護師さんたちの捌けた対応で、
受付が済み、症状のヒアリング、ドクターの診察を受け、流れ作業のようにあれよあれよとレントゲンを撮られ、
「骨に異常はありませんね。」
That’t it!!!
へ、これで終わり？
薬もなく、何がどう悪くて、いつ頃治るかも分からずに、
お会計、しめて約40000円也〜！
た、高いっ！
これじゃなんの解決にもならなくて、お金をドブに捨てたようなもの！
本当はあまり使いたくないんだけど、このお値段はちょっと自腹は切れないわ〜。
海外保険、請求させていただきます。
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結局、なんの収穫もなくトホホのまま病院を後にしました。
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再び路線バスに乗ってパンプローナの街の入り口へ。
石畳の街の中を亀の速度で歩き回って、やっと見つけたアルベルゲにチェックイン。
今夜はこの街にステイします。
普通は、SJPPを出発した巡礼者なら3日で通り過ぎるパンプローナ。
私は、今日でもう5日目。
完全に出鼻をくじかれています。
さて、これからどうしようか。
骨に異常はないと分かったけれど、レントゲンでは写らない何か異常事態が発生しているかもしれないし。
1ヶ月経っても治らないなんて事になったら、
帰国して日本の病院でMRIでも撮ってもらった方がいいのかな。
トンネルの闇は暗く、
出口の方向すら検討が付きません。
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その夜、先を行くマッサージ師sakiちゃんからLINE。
「ucaさん、強い炎症の療法はRICEですよ！」
らいす？
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R……Rest 安静第一！
I……Icing 熱を持っていたらガッツリ冷やしてクールダウン。
C……Compression サポーターや包帯でしっかり圧迫。
E……Elevation 患部はなるべく心臓より高くして横になる。
食事は、ビタミンCやミネラルを摂ること。
偏食は怪我をしやすいから。
そして、
「筋肉や腱は回復するから大丈夫です！」
うぅ、何よりも心強い一言。
sakiちゃんのアドバイスや丁寧に綴られた長文の文字は、
さっき診てもらった病院の、何倍も何十倍も有益で心に響きます！
LINEのやり取りはもう少し続きます。
1日20km以上は一般の歩行の5〜6倍で、
最初はアドレナリン効果で脳が騙されて気付かないけれど体の負担は大きく、
景色や出会いを楽しみながら、馴らしていく感覚で歩くと良いこと。
1時間に1度は休憩を取り、体を伸ばして軽くストレッチをしてあげること。
つまり最初から飛ばしすぎるな、という事ですよね。
私の犯した失敗です。
最後に、
「これはucaさんにとって大切な経験です。
本やネット以上に生きた知恵になります。
もし誰かが困っていたら、ucaさんの経験で助けられます！
ucaさんにいい旅をしてほしいと、心から願っています。」
ねえsakiちゃん、
天使様かな？女神様かな？
あなたはなんて、なんて優しい人なの？
こんなにも親身になって、誰かの体を気遣ってあげる事が私にはできるだろうか。
しかも、sakiちゃん自身も慣れない異国の地で毎日の長距離歩行。
心身ともに疲れが溜まっているのはあなたも一緒なのに。
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SJPPから歩き始めて5日。
想定外のハプニングと試練。
出会いと、たくさんの学び。
まだまだスタートしたばかりなのに、全ての体験があまりにも濃厚すぎて！
この短期間でさえ色々な気付きを与えられまくっているカミーノで、
既に、ここへ歩きに来て本当に良かったと心底思い始めている私です。
と同時に、
ますますゴールまで歩き切りたい気持ちが強くなって、
焦燥感に駆られるのもまた本音で。
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膝小僧ちゃん、ケアが足りなくてごめんよ。
これからは気をつけるから、
お願い、痛みよ消えて。
元に戻って！
そう念じながら、右膝を力なくさするのでした。
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■カミーノ5日目
2017/5/22 （月）
PAMPLONA
アルベルゲ/Irunako カプセルタイプ15ユーロ Wifi◎
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