【カミーノ9】星の数だけ

ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼

<カミーノ10日目>

膝を痛めて5日間も停滞してしまったけれど、昨日は無事に再スタートを切り、なんとか5kmを歩けました。
今日はもう少し距離を伸ばしてみよう。


 

目標は、12km!

 

しかも、今日の行程は昨日とは比べ物にならないくらい随分と厳しい。

 

カミーノmap

なんせ、険しい峠越えが控えているのだから!
by CAMINO MAPの標高図




出発の朝。
早い人だと5時前後には起きて、まだ日も明けないうちからアルベルゲを経ち暗がりの中を歩き始めます。
日が高く上がってしまうと暑さで体力を奪われてしまうので、できればお昼前に次の目的地へ着くのが望ましい。
けれども、早起きが苦手な私はどうしても6時頃にしか起きられず、
他の巡礼者たちより、出発がいつも少し遅れてしまいます。

 

それに加え!

 

昨夜はマイベッド上段のイビキマシーンのおかげでほとんど熟睡できなかった!
アルベルゲの受付の人が、「イビキに覚えのある人はこちらのお部屋のベッドをお使いくださいね」とチェックイン時に誘導し、
ご丁寧にイビキ部屋まで用意されていたにも関わらず!
上段のおじさまにイビキの自覚はなかったわけね。
寝ている間の自然現象だから本人は気付かないものなのかな。
て、まさか自分も強烈なイビキマシーンだったりして!?
だとしたらゴメンナサイw

 

ぐっすり寝付けずに、朦朧とした頭で出発の支度を整え外に出ると、

 

カミーノ 朝日

神々しい日の出のお見送り!
しばしうっとりと見とれつつ、清々しい朝の空気を胸いっぱいに吸い込むと、

 

今日も最初の一歩を踏み出します。
いざ、峠を目指して出発!

 

ただ、昨日よりも膝が痛む気がするな。
慌てて痛み止めを飲んで、ソロリソロリと歩き始めました。
本当に、こんな膝の状態で険しい峠を越えられるのだろうか。
出だしから不安がモヤモヤと頭を擡げるのですが、
無理はしないで、できるところまで!
ゆっくり、ゆっくり、と自分に言い聞かせて。

 

カミーノ スペイン巡礼

この道を、ただ前へ進むのみ!

 

カミーノ スペイン巡礼


カミーノ スペイン巡礼

流れゆく飛行機雲を目で追いかけながら、
今日も一歩ずつ前進します。

 

カミーノ スペイン巡礼


カミーノ スペイン巡礼

太陽が少しずつ空へ昇り、道を黄金色に照らし始めます。

 

カミーノ スペイン巡礼

周りの人たちにグングン追い越されちゃうけど、
気にしないように、自分のペースで。

 

カミーノ スペイン巡礼 ナメクジ

巨大ナメックがいたるところにウヨウヨ。
間違って踏んじゃわないように、足元に注意を払って歩きます。

 

サンティアゴ カミーノ チャリダー

サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼の手段として正式に認められているのが、徒歩、自転車、騎馬の3つ。
馬を連れて歩く巡礼者にはまだ出会ったことはないのですが、
チャリダーさんはとても多く、歩く人々の脇をすり抜けて颯爽と風を切り、猛スピードで走っていきます。
ただし、このような砂利道や未舗装の坂道は徒歩よりも遥かに厳しく、
カミーノ自転車走行にトライするには、経験と装備、入念な準備と計画が必要のようです。

 

カミーノ スペイン巡礼 麦畑


カミーノ スペイン巡礼 麦畑

カミーノのシンボルのひとつ、麦畑。
真っ直ぐ空に伸びる青い麦の穂はみなぎる生命力の塊!

 

こんな景色を目の前に、荷物を下ろしてストレッチ。
膝を痛めてからは、1時間に一度は休憩を取り、体を伸ばして軽くマッサージをするようにしています。

歩く時は小幅で、
荷物を背負ってつい猫背になりがちな姿勢は、気付いたらシャンと胸を張って歩く。

全部、sakiちゃんが教えてくれてました。


痛み止めが効いてきたのか、はたまたウォーキングハイなのか、
いつのまにやら膝の痛みは気にならなくなってきました。
そんな時ほど休憩とケアは入念に。
悪化しないようにちゃんといたわってあげないと。

 

カミーノ スペイン巡礼 ポピー


カミーノ スペイン巡礼 ポピー

私的カミーノのシンボルその2、真っ赤なケシの花。

 

カミーノ スペイン巡礼 ポピー

人によっては、
つまり歩く時期によっては菜の花だったりヒマワリだったり、紅葉だったりするのでしょうが、
私の道を彩るのはこの真っ赤なポピーたち。

 

カミーノ スペイン巡礼 ポピー

青い麦畑と赤い花びらのコントラストが華やかで!
ポピーの花に出会うたびに足を止め、ついカメラを取り出してしまいます。

 

スペイン巡礼 カミーノ 景色 風景

今日は、SJPPからここまで歩いてきた中でもとりわけ美しい景色を見せてくれている気がして気分が高揚します!
思わず感嘆の声が漏れてしまうほどに!

 

やがて、遠くに見えてきたのは、

 

スペイン巡礼 カミーノ 風車

私の大好きな風車!

 

白い風ぐるまが一列に並び、くるくると規則正しく回っています。

 

スペイン巡礼 カミーノ 風車

風車を目指して伸びる一本道。

 

スペイン巡礼 カミーノ 風景 景色


スペイン巡礼 カミーノ 風景 景色

木陰の休憩ポイントでは私もベンチに腰を下ろし、
汗をぬぐい、水分を取り、体をウンと伸ばしてストレッチ。

 

そして、再び歩く。

 

スペイン巡礼 カミーノ 風景 景色


スペイン巡礼 カミーノ 風景 景色


スペイン巡礼 カミーノ 風景 景色


スペイン巡礼 カミーノ 風景 景色

 

そろそろお腹が空いてきたなぁ、というところで、

 

カミーノ 村 バル

CIZUR MENORから約6km地点、小さな村が現れました!
ここでお待ちかねのブランチ休憩とさせていただきます。


バルのテーブルで相席になったのは、ヨボヨボのおじいちゃん。
彼の名はPeter。
トルティージャをつつきながら、彼のお話にしばし耳を傾けます。

 

PeterはSJPPから三週間かけて、ブルゴスという街を目指し歩いているそう。
コンポステーラまでは行かないんだ。
不思議に思いよくよくお話を聞いてみると、
なんとなんと彼、ドイツからフランスを抜けて、1600km歩いてきたツワモノだった!!!
見せてもらったクレデンシャルにはスタンプがびっしり!
Peterは10年くらい前(だったかな?)から毎年2、3週間ずつ巡礼の期間を作って長い道のりを刻みながら歩き、
今年はSJPPからブルゴス、
そしてようやく来年、ブルゴスからゴールのコンポステーラを目指すという、
途方もなく長い年月をかけた壮大なカミーノプロジェクトの真っ最中だったのです!

そういえば、マルタ島出身のMarkとHoraceも時期をずらして行程を刻んでいたし、
一度にゴールを目指さない歩き方も結構ポピュラーなのかもしれないな。
私も、道半ばでいよいよ膝がダメになってしまったらまた日を改めて途中から出直すとか、
そういう方法もあるってことだよね。

 

穏やかなPeterとのお喋りに癒されて、
HP(体力)とMP(食欲)をある程度回復させたら、

 

ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼

いざ、峠へ挑まん!!!

 

ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼


ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼


ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼


ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼

ゆるやかに続く上り坂。

 

ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼

少しずつ近くなる風車たち。

 

ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼


ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼

高度を上げるにしたがって徐々にパノラマに広がりゆく景色が、
疲れも、膝の痛みも吹き飛ばしてくれるのです!

 

そして、

 

ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼

ついに、風車が同じ目線の高さに。


ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼

標高750m、ペルドン峠のてっぺんに到達!

私の足、よく頑張ってくれたね!!!

 

巡礼者たちのモニュメントを感無量で眺めていると、
ゴールはまだまだ果てし無く遠いのに、既に達成感を感じて涙が出そうになる。

て、まだ早すぎるけど!

だって、
風車と青空、眼下に広がる田園風景、遠くに連なる山々。
ペルドン峠に到達した者たちに惜しみない讃美を与えてくれているような、この完璧なシチュエーション!
現に、ここに集う巡礼者たちのの顔はみな一様に晴れやかですから!


腰を下ろして休憩していると、お隣にKoreanの女性。
剥き立ての香りの良いオレンジを分けてくれました。

 

少しお喋りをしていると、
なんと彼女の大学生の息子さんも、同じくパンプローナで膝を壊して歩けないでいると言うではないですか!

 

「私も一緒だよ!」

 

パンプローナのアルベルゲで出会った男性もそうだったし、
SJPPから慣れない歩き旅を始め、
ピレネー山脈を越えて、
ちょうど下山したパンプローナあたりで足を痛める人は案外と多いのかもしれないな、て。

 

そのママさんは息子さんとともにコンポステーラを目指すために、韓国からはるばるカミーノへやってきたそうですが、
今は一人で歩いている彼女に、

 

「息子さん、これからどうするの?」

 

と尋ねると、

 

「彼は今日はタクシーを使って先へ行っているわ。プエンテ・ラ・レイナで合流する予定なの。」

とママさん。

 

「そうなんだね。それがいいね!
私は病院にまで行って5日間も歩けないでいたの。
息子さんはすぐに治るといいけど。」


ペルドン峠でひとしきり休憩をした後は、
魔の下り坂が待ち受けています。

 

ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼

足場の悪い砂利の坂道。
上りはなんとか騙し騙しやってきたけれど、下りは膝への負担が大きく痛みが増すのは必至。
かなり慎重に歩かなくては。

 

さ、行くか!と一歩を踏み出すと、やはり痛くて右膝をうまく使えません。

するとKoreanのママさん、

 

「下りはもっと杖を伸ばしてあげるのよ!」

 

ポールを上手に使った下りの歩き方を教えてくれました。

 

ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼

ママさんの背中。
ありがとう。
無事に、息子さんと次の街で合流して、
再び一緒に歩けますように。

 

ああ、でもやっぱり。

 

石ゴロゴロは滑りやすくて危ないし、急な下り道はどこまでも終わりがなくて、

 

膝、痛いよーーーーー!

 

行きはよいよい帰りは怖い。

峠越えの後半はかなり苦戦を強いられています。

 

ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼

とにかく落ち着いて、
ゆっくり、ゆーーーっくり。

 

アリンコ並みの小幅でチマチマと歩いていると、おじさんに声をかけられました。

お、これまたカミーノではあまり見かけない褐色のお肌、アジアン系のお顔?

 

やはり、ルーツはインドでした!
彼の名はMark。(マルタのMarkと一緒!)
スリランカ人なんだけどご先祖様はインドのチェンナイ出身で、宗教はヒンドゥー。
現在はドイツに住んでいるという男性でした。

 

「私、膝を壊して痛くて早く歩けないの。どうぞお先に行ってくださいね。」

 

そう言って先を促したのだけど、
私を励まし続けながら!?Markも私の歩幅に合わせて一緒に坂道を下りてくれました。



ようやく下り坂も終わりに差し掛かったところでいい具合に木陰のベンチを発見。
ここで少し休憩を取ることに。

 

カミーノ スペイン巡礼 出会い

人懐こいMarkは道ゆく人みな知り合い!?
通りすがりの巡礼者たちが彼に声を掛けていきます。

 

カミーノ スペイン巡礼 出会い

Markは40年間ドイツに住んで政府の仕事をしていて、その前は7年間サウジアラビアで働いていたそう!
なんとグローバル!
引き締まった足や若々しい表情からはとても見えないけれど、彼はなんと69歳!!!
今は定年退職し、先日5/23、彼の誕生日にSJPPから歩き始めたと言います。

 

「どうしてカミーノを歩きに来たの?」

 

「神様にお礼を伝えるためだよ。」

 

「お礼?」

 

話を聞いてみると、彼は一年前に大きな癌が見つかり手術で切除したんだそう。
そのために、インスリンを体内に取り込むためのカートリッジを携帯し、今も常に注射を体に刺しながら歩いていると言います。
カートリッジは3日毎に取り替えなくてはいけないとか。
(私の拙い英語力でのコミュニケーションなので、内容にちょっと自信がないけど・・・)
手術してから年明けの検査で転移が見つかったらもう手術は無理でしょうと医者には言われていたのだけど、
4週間前に検査をしたら、お医者さんから「Gone!」って!
転移もなく再発もなく、癌は消えてしまったんだって!
だから、神様にそのお礼を伝えるために、彼ははるばるカミーノへやってきたのでした。

 

「uca、この道はね、何百万人もの人々が歩いた道。
specialな道なんだよ。」

 

スペイン巡礼 カミーノ 景色 風景

ただの一本道。

この道を、どれだけ多くの人がそれぞれの想いを抱え、
一歩一歩を踏みしめて歩いてきたのだろう。
1000年以上も前から、
コンポステーラへ続くこの一本道が、
どれだけ多くの人たちを導いてきたのだろう。

 

星の数ほどの旅人たちの、
想いが詰まったスペシャルな道。

 

ちょうど、こないだsakiちゃんと話してた。

 

ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼

歩く人の数だけドラマがあるねって。

 

ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼

毎日毎日、カミーノにはドラマがある。




カミーノ フランスの道 UTERGA

CIZUR MENORから約12km。
URTEGAの村をゴールと決めていました。
今日もなんとか無事に辿り着きました。

 

Markはもう少し先を目指すと言い、この村でお別れをしました。
体に注射の針を入れ続けながら、神様にお礼を伝えるために歩くMark。

 

イエスでも、シヴァでも、ブッダでもアッラーでも。

なんでもいい。

 

神様。
どうかご加護を。


カミーノ フランスの道 UTERGA アルベルゲ

レストランが併設されたアルベルゲにチェックインし、
早々とシャワーを浴びて、このお天気を逃すまいと衣類もタオルもジャブジャブと洗い、
お日様の下に洗濯物を干して、今日の仕事は終わりです。

 

やっと、お待ちかねのディナー!
にはちょっと早いけれど、
お食事タイムー!!!

 

カミーノ フランスの道 UTERGA アルベルゲ

いつも歩き終わるとお腹ペッコペコの私。
今日は野菜を摂取しようとアラカルトでオーダー。
もりもりサラダにカルボナーラにビール!
大満足です♪

 

バーカウンターの脇には可愛いカミーノグッズが売られていて、

 

カミーノグッズ 巡礼グッズ ホタテのアクセサリー

ついついお買い上げ。
これならかさばらないし、無駄なものじゃないし!?
いいよね!
すっかり愛しのホタテモチーフです。




カミーノ フランスの道 UTERGA

早い人だと21時とか、もっと前に就寝しちゃうのですが、
夜型の私は体はヘトヘトに疲れているはずなのにどうにも目が冴えて寝付けない。
ラウンジや共有スペースでついつい遅くまでパソコン仕事をしたり、
なんやかんやしていたらあっという間に深夜0時近くになってしまうのです。
だから早起きも苦手、という負のサイクルなんだけど。


夜寝る前に、今日一日の事を思い返します。

 

朝は膝が特に痛んで、峠越えは今日は無理かな、なんて思った。
でもちゃんと峠の頂に立ち、険しい下り坂を超えて、目標の12kmを歩き切ることができた。
sakiちゃんが言ってた、人間には自然の治癒力が備わっているからって。
私の膝も、足も体も、今日も一日頑張ってくれたね。

そして、Peter、Koreanママさん、Mark。
今日もいろんな旅人たちに出会い、それぞれのドラマを垣間見た。

 

出会いも出来事も全ては必然で、一本の道に繋がっている。

 

これから先、どんなドラマが待っているのかな。

 

ペルドン峠 カミーノ スペイン巡礼

明日も、私の道を歩こう。


■カミーノ10日目
2017/5/27 (土)
CIZUR MENOR – UTERGA <12.3km>
アルベルゲ/Camino del Perdon ドミ10ユーロ Wifi◎

 

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