【カミーノ27】解放
<カミーノ27日目>
久しぶりにしこたまお酒を飲んだお祭りの前日。
心配していた二日酔いもなくスッキリと目覚められた朝。
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準備をしていざ出発しようと外に出ると、ちょうどタイミング悪く雨に降られてしまいました。
雷までゴロゴロ鳴り始める始末。
少し待機してみたけれどすぐに雨の止む気配はなかったので、
レインポンチョを広げ、意を決してアルベルゲを飛び出しました。
ここ数日はお天気続きだったので、久しぶりに雨の中のウォーキング。
嫌だけど、嫌いじゃない。
埃っぽくなった空気を落とし乾いた植物を潤してくれる。
それに、適度な湿度は日に焼けて乾燥したお肌にも嬉しい!
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それは、石畳の目抜き通りを抜け、アルベルゲから1.5kmほど歩いた街の終わりの橋の手前。
はたと違和感に気付きました。
タオルがない!
すぐに汗を拭けるよういつも首に巻いているタオルが、いつの間にか忽然と姿を消していたのです。
背中のバックパックにも引っかかっていないし、レインポンチョにも、薄手パーカーの中にも潜り込んでいない。
朝、出がけに首にかけたのは覚えているのだけど、どこかで落としちゃった?
昨日の洗濯洗剤に続き、タオルまで紛失するなんて。
すっかり愛着の湧いた安物速乾性のブルーのタオルを諦め切れず、
元来た道を引き返して探すことにしました。
橋のたもとから1kmほど戻ったところ。
道端に見覚えのある青いものを見つけ、慌てて駆け寄りました。
ビンゴ!
風に煽られた時だろうか。
見つかって良かった。
タオルを拾い上げ、再び橋の方へ。
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往復2kmほど余分に歩いて時間もロス。
街の中を行ったり来たりウロウロしたおかげで、結局、Sahagúnを出る頃には時計は8時を回っていました。
タオルがないことに気付き、先ほど引き返した橋の手前。
遅めのスタートにはなってしまったけれど、街を出る頃にはちょうど雨も止んでくれて。
レインポンチョを脱いでバサバサと雫を落とし、バックパックにしまいます。
橋を渡り、
気を取り直して前へ!
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雨のおかげで連日の暑さは和らぎ、なんならちょっぴり肌寒いくらい。
歩いていると体はすぐにホカホカ温まるのだけど。
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このフォルム、好き。
太陽が雲の隙間から顔を出す雨上がりの空も好き。
さて、ここで運命の別れ道。
Sahagúnの街から4kmほど進んだ分岐点。
カミーノMapに記されたオレンジの点々、つまり国道沿いのノーマルルートを少し歩き進めたところで、
大きな看板。
なになに?
と近づいてみると、
私が今いる国道ルートはBADで、もう一方の別れ道の方がGOODだって!?
戻って脇道に逸れるよう、ご丁寧に Go Back Hereとまで書かれている。
もう一度カミーノmapを確認してみると、
国道沿いのBADの道がオレンジの点々、GOODと示されていたのはグリーンの点々ルート。
ただし、こちらにはとある難関が。
mapの次のページをめくると。
分岐点から9kmほど先のCALZADILLA De Los Hermanillosの村を境に、
向こう18kmは集落もカフェも何も見当たらない。
つまり、
これはまさに、トラウマの地獄ロード再来だわ!
一瞬躊躇したものの、先人の教えは何よりも貴重な道しるべ。
もちろんGOOD WAYをチョイスさせていただきます!
ただし、出発が出遅れてしまった今朝、心の準備もないままに後半18kmの地獄ロードへ突入するのは憚られる。
とりあえず9km先のCALZADILLA De Los Hermanillosを本日の目的地とし、
地獄ロードは明日に回して今日はライトに行くことにしよう。
メリハリ大事よね?
くるりと方向転換。
踵を返し、看板から分岐点まで戻って先ほど通り過ぎたもう一方の道へ。
GOOD WAYを突き進みます。
そこからすぐのCALZADA del COTOという村で一旦バル休憩。
シンプルな卵焼きのサンドを食べて、一息ついて外へ出ると、
村の先は、地平線まで伸びる果てしない赤土の道。
この何もなさがGOODの所以!?
でも、アスファルトの国道の横を歩くよりはずっといい!
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寂しげな荒野に色を差す可憐な草花たちが、歩くモチベーションを支えてくれます。
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頭上には、今にも降り出しそうなぶ厚い雲。
はっきりと境目が分かる雨の筋が前方の空から落ちているのが見えて、
進行方向を遮っているあの黒いカーテンがこちらにやって来ないようただただ祈るのみです。
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前にも後ろにも人はおらず、だだっ広い荒野をたった一人歩く。
心地の良い孤独に包まれながら大地を一歩ずつ踏みしてめていると、
やがて、頭の中にポツリポツリと思考が浮かび始めます。
それからは、脈絡のないひらめきにただ身を委ねるだけ。
この道のこと。
ここにやってきた理由、意味。
置き去りの過去。
心につっかえたまま無理やり封じ込め、すっかり忘れていた出来事たち。
時計の針が止まったままのあの日。
カミーノを歩いていると、
すっかり忘れていた昔の記憶が次々と鮮明に蘇ってくることがあるのです。
ある時、友人にこう言われたことがあります。
「ucaは、解決しないまま蓋をする」と。
向き合うのが苦しくて、抱え切れなくてパンクすると、
楽になりたいがために問題の一切を物理的に遮断し、蓋をして見えなくして感情を閉じ込める、
それが、前に進むために私なりに選んできたポジティブな手段。
解決しないこととそれは同義?
そもそも、全てを解決しないといけないの。
解決ってなんだろう。
立ち止まってもがき、うずくまっていても、時は刻々と過ぎて。
でも、時間は優しいから。
辛い出来事も感情も、時間が、少しずつ記憶の彼方へ葬り去ってくれる。
だけど、
こうして無心に歩いていると、時折ふと古傷が疼いたりすることもあって。
忘れていたはずの記憶が呼び戻されて、いまだに思い出すことに心が激しく動揺するのです。
あの時自分自身に感じた怒り、悲しみ、悔しさも、情けなさも。
蓋をして押し込めていた感情を、膿出しのように全部解放してあげる。
無理して笑うこともないし、空元気を演じる必要もない。
泣きたい時は子どもみたいに泣けばいい。
ここに、私は今たった一人だけで、
この一本道はただ前へ続いてる。
全て全て出し切ったら、
過去も、今も、
許せない弱い自分も。
全部許してあげよう。
カミーノはとても不思議。
果てしない包容力で何もかもを丸ごと包み込んでくれる。
カミーノには許しと癒しのパワーがあるような気がします。
歩くことで再生し、生まれ変わってゆく、
そんな不思議な道。
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GOOD WAYを歩き出して9km地点。
集落が見えてきました。
なんとか雨に降られないうちに辿り着いた、CALZADILLA de los Hermanillos。
村の入り口の素敵なアルベルゲにチェックイン。
今日はちょっと奮発の一泊15ユーロです!
その甲斐あって!?
通された一番上のお部屋は、簡易シーツに寝袋が必要ないつもの硬い二段ベッドではなく、
真っ白なシーツが嬉しいフカフカのシングルベッド!
しかも、この日は私以外に宿泊者がおらず、この屋根裏部屋を奇跡の独り占め!
よっしゃ、安眠もらったー!!!
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雨が降り出す前に洗い物を済ませ、
心も衣類もお洗濯をした後は、美味しいもので心身を満たしましょう!
今夜のディナーは道中top3に入るくらい美味しくて!
生ハムメロンにほろほろ柔らかい骨つきラムの煮込み。
白いワイン片手にゆっくりと食事を味わいます。
生きていれば当然何度も壁にぶつかるけれど、
大好きな旅をして、出会い、美味しいものを食べお酒を飲んで、異国の地で眠りにつく。
そんな今の至福をじっくり噛み締めながら、
まだ見ぬ未来を思い描く。
いつの間にかふんわり気持ちよくなって、
ワインボトルをすっかり空にしてしまいました。
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■カミーノ27日目
2017/6/13 (火)
Sahagún – CALZADILLA de los Hermanillos <14.5km>
アルベルゲ / Via Trajana ドミ15ユーロ Wifi ◎
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