【カミーノ40】浄化
＜カミーノ42日目/前編＞
ゴールまで、残りあと44km。
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ラスト二日を半分ずつの距離に分けてサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す予定で、
今日はRIBADISO de Baixoから23.7km先のPEDROUZOの街まで、
最終日の明日は残り20kmを歩いて巡礼を終える計画でした。
だけど。
多分、erikaに刺激を受け、触発されたんだと思う。
心の奥底に灯った小さな灯りは、
一夜明けて消えるどころか、強さを増してメラメラと燃え続けているのです。
改めて思い返すと、
私がカミーノへやってきた一番の動機、それは「挑戦」でした。
800kmという未知の距離をこの足で歩き切ったら、
その先にどんな景色が待っているのかな。
どんな世界が広がるのかな。
どんな私に出会えるんだろうって。
今までの自分を超える、大きなチャレンジをしてみたい。
昨日erikaの姿を見て、ここにいる原点を思い出したのです。
心の内に燃え盛る、激しい炎が奮い起こした最後の挑戦。
今日は、今までで一番長い距離を歩いてみよう。
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6時50分、アルベルゲを出発。
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今日も、出鼻をくじかれるような雨からカミーノがスタートです。
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雨、時々晴れ間。
今日も安定の学生軍団！
短パン姿でみな元気に歩いています。
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降ったり止んだり安定しない空模様だけど、
7割は雨。
カミーノ初日からお世話になった機能性ゼロの粗悪レインポンチョ。
なんだかんだで買い換えることもなく、最後まで大活躍？してくれました！
今回の旅の前にネットで4000円で購入した、
外側よりもなぜか内側の方が濡れるという、ドラえもんもびっくりの摩訶不思議なポンコツアイテム！
それでも何も着ないよりはマシだろうと雨が降るたびにポンチョを羽織り、今ではすっかり愛着も湧いて・・・
なんてことには残念ながらならなかったけれど！
（スニーカーにザック、ポールはたまらなく愛おしい！）
まさか、最後の最後まで使うことになるとはね。
もしも、いつかまたカミーノに再挑戦することがあったら、
今度はケチらずに、ゴアテックスのお高めレインウェアを用意したいと思います！
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雨降りの道の途中、
ワンコ連れの巡礼者が通りかかりました。
小さい体に荷物をくくりつけてご主人様の側を歩くとてもお利口なワンコたちに、
まわりも笑顔がこぼれます。
キュン！
首元に巡礼の証、ホタテ貝までぶら下げちゃって！
うぅ、なんて可愛いの！
ちょうど雨宿りが一緒になったバルのお庭でワンコたちとたわむれていたら、
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ザーーーーーーッ！！！！
こんな悪天候は初日以来！？
雨に始まり雨に終わるカミーノか。
ものすごい音を立てて豪雨が降り始め、バルから一歩も動けません！
今日はあまり休憩を取らないつもりだったのに、
土砂降りで足止めをくらい、焦りばかりが募ります。
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雨脚が少し弱くなったタイミングを見計い、
えいや！とバルを飛び出して、シトシト降りの中を再び歩き始めました。
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ワンコ連れの次はロバ連れさんに遭遇！
サンティアゴ巡礼は徒歩と自転車、騎馬の3つの手段が認められているのですが、
ロバ乗り巡礼もギリOKなのかな！？
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時刻は正午を少し過ぎたところ。
当初目的地に定めていた、23.7km先のPEDROUZOの村に到着。
空腹を収めようと通り沿いのバルに入り、トーストサンドをカフェ・コン・レチェで勢い良く流し込みました。
いつもなら1時間弱かけてダラダラとブランチを取るのがルーティンですが、
今日は休憩もそこそこに、食べ終わるとすぐに会計を済ませ、慌ててバルを後にしました。
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ぼんやりとした思いは、
いつしか明確な決意に変わっていたのです。
サンティアゴ・デ・コンポステーラの手前を目指し、
今日は過去最長の40kmを歩く！
村を抜けるとまた森の道へ。
あんなに大勢だった巡礼者の群れが、気が付くといつの間にか誰一人姿が見えなくなって、
高く伸びた木々のトンネルの下を、久しぶりの静寂を噛み締めながら歩きます。
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古くなって白化した幹や、苔むした木の皮。
蔓を巻きつけてウネウネと伸びる枝。
空を覆い隠す葉っぱのおかげで雨粒は地面までは届かず、
サラサラと雨の降る音だけが森の中に響き渡ります。
それは、とても不思議で神聖な時間でした。
柔らかい腐葉土を一歩一歩踏みしめるごとに、
削ぎ落とされていく、
研ぎ澄まされていく感覚。
何故だろう。
終わりが寂しいのか、始まりが切ないのか。
記憶が呼び起こされているからのか、
明日が不安なのか。
嬉しいのか悲しいのか、喜びなのか怒りなのか。
なぜだか分からない涙が次々と溢れて止まらないのです。
まるで、ごちゃまぜの感情を全部洗い出しているかのように。
その現象をただ受けいれて抵抗もせず、
見えない力に引き寄せられるまま、足を交互に前に出して、
森の中をたった一人、
流れに身をまかせて歩きました。
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森を抜ける頃、枯れた涙とともに雨も上がり、
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サンティアゴまで、もうあと僅かです。
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